宮城県内トップ 生食用カキ出荷

 石巻市桃浦のカキ養殖漁業者と水産卸の仙台水産(仙台市)で設立し、全国で初めて水産業復興特区の適用を受けた「桃浦かき生産者合同会社」は30日、県内のトップを切って今季の生食用カキの出荷を始めた。東日本大震災で壊滅的被害を受けた浜の再生を懸けて会社化し、迎えた3度目のシーズン。漁業者らは単年度黒字化を目指して意気込んでいる。
 殻むき作業は午前7時に始まり、社員や女性たち約30人が前日に水揚げして浄化したカキの殻をむいた。産卵を終えたばかりで身入りが良くなるのはこれからだが、大きさはまずまずという。
 生食用カキの出荷解禁日は県の指針で9月29日と定められているが、県漁協は今季の出荷開始を10月6日と決めた。合同会社は取引先の要請に応じ、一足早い出荷に踏み切った。1日には県内を中心に量販店の店頭に並ぶ。昨シーズンはシュウリ貝にカキの生育が阻害されるなどして生産量が伸びず、カキ関連の営業収支は約7900万円の赤字だった。
 ことしは養殖いかだの数を昨年の倍に増やし、生産目標をむき身と殻付き合わせて80トンと設定。量販店や飲食チェーン店に出荷するほか、自社で薫製やオリーブオイル漬けといった加工品を製造・販売する。将来は海外輸出も視野に入れる。
 大山勝幸社長(67)は「今季は十分な量が見込める。勝負の年と思い、事業収支でも結果を出したい」と力を込める。
 仙台水産の島貫文好会長(68)も「会社の本来の目的は被災した浜の復興。いいカキを価値に見合った価格で売り、漁業者の収入を増やしたい」と述べた。

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