宮城県国土利用計画中間案 コロナで不動産需要変動も 地方移住の機運高まる

宮城県は、地域の土地利用の方向性を示す県国土利用計画(2021~31年)の中間案をまとめた。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、不動産需要が人口密集地から郡部に移る可能性に言及。東日本大震災で被災した沿岸部など人口減少地域の荒廃にも触れ、適正な土地管理を模索する必要性を強調した。

 中間案では、今年1月の素案で盛り込まれなかった新型コロナ関連の項目を初めて追加。在宅勤務が徐々に広がる中、感染リスクや生活コストがより高い都市部から、地方に移り住む機運が高まっているとした。
 都市部でオフィス、飲食、宿泊といった分野の不動産人気が落ち込む可能性を指摘。一方で住宅や物流に関わる土地の引き合いが地方で強まると予測し、需要動向を注視してまちづくりを進めるべきだと訴える。
 人口減を巡っては、空き家の増加や農地、山林の荒廃を懸念。所有者不明の土地を有効活用できる特別措置法など近年整備された法令や制度を活用し、既存の施策にとらわれない県土づくりを目指す方向性も示した。
 県の担当者は「防災や景観保全の面からも、行政の力だけでは均衡ある県土づくりはなし得ない。新たな計画を通じて自治体と住民、NPOなどが主体的に関われるようにしたい」と狙いを説明する。
 県は20年秋に県民の意見公募を実施。21年1月に最終案を策定し、県議会2月定例会での可決を目指す。

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