新型コロナウイルス感染拡大防止のため、休校の続く宮城県立学校で、インターネットを活用したオンライン学習の動きが広がっている。大崎市の古川黎明中高では、朝のホームルームから始まる本格的な授業を実施。多賀城高(多賀城市)でも、教師がオンラインで生徒に課題を出し、自宅学習を支援している。
「1日集中して学習に取り組みましょう」
8日午前8時半、大崎市の古川黎明中高で高校3年を受け持つ永田慶平(きょうへい)教諭(30)がタブレット端末に向かい、40人の生徒にメッセージを一斉送信した。オンラインによる朝のホームルームの始まりだ。
生徒からは、健康状態と近況に加え、「きょうも計画通りに進められるように頑張ります」などと目標を書いた返信が次々に届く。
同校では4月20日、横浜市の会社が開発したアプリ「ロイロノート・スクール」を使ったオンライン授業を本格化させた。中学3年から高校3年までの95%以上の生徒が、月-金曜の授業に参加し、専用の時間割に基づいたカリキュラムをこなす。
授業は、教師の出した課題に生徒が取り組み、解答する形で進む。永田教諭は古文の担当。タブレットを通じて「枕草子」の現代語訳や作者の心情を尋ねると、生徒は答えをノートに書き、それを撮影した画像データを返してくる。永田教諭は「受験を控えた生徒たちをできる限り支えたい」と話す。
同校では昨年、校内で試行的にアプリを使ったオンライン授業を行った。感染拡大による休校が長期化する中、情報化担当の久光重宏教諭(46)は「システムを活用したいという教諭の意見が強かった」とオンライン授業に踏み切った事情を説明する。
アプリの利用料は1人300円程度。授業開始に当たり、今年4月初め、高校生706人と中学生314人の家庭にIT機器の接続環境を尋ねた。環境が整わない生徒には学習課題を郵送し、電話で状況を確認している。
小川典昭校長(57)は「毎朝やりとりすることで、生活リズムが整えられる。生徒や家族も学校とつながっている安心感があるはず」とメリットを強調。中学1、2年生の授業も近く実施を予定している。
県立学校では多賀城高災害科学科が2、3年生の希望者に生中継で授業をし、仙台三高は録画した授業風景を配信する形式を採用する。