宮城県立精神医療センター「名取での建て替え妥当」 県審議会が全会一致で決議

宮城県精神保健福祉審議会の会合が13日、県庁であり、県立精神医療センター(名取市)の建て替えに関し、名取市内での建て替えを含む3案が正式に示された。委員間協議では、現在の医療提供体制を維持できる利点が大きいとして、出席した委員17人が全会一致で「名取での建て替えが妥当」と決議した。

県は近く、建て替えの方向性を最終判断

 県保健福祉部の志賀慎治部長は終了後の取材に「名取市内で移転(建て替え)すべきだとの決議を重く受け止める」と発言。県は近く、建て替えの方向性を最終判断するとみられる。

 会合は9カ月ぶり。県はこれまでセンターの富谷市移転を前提に検討していたが、今回は(1)富谷と名取にそれぞれ病院を置く(2)名取から富谷に段階的に移行する(3)名取で本院を建て替える-の3案を示した。(3)の案では県北の患者に対応するため、富谷に一定の精神科機能を置くとした。

 県は(3)の案に関し、県南部の体制維持の一方、精神科単科の病院の単独建て替えとなるため、他の総合病院との連携などで身体合併症への対応能力を高める必要があると説明した。

審議会会長、身体合併症対応の充実「名取で目指すのが現実的」

 名取で建て替える場合の候補地の一つとして、市内で仙台赤十字病院(仙台市太白区)に統合される県立がんセンター(名取市)の跡地を挙げた。

 (1)と(2)の案は、富谷に移転予定の東北労災病院(青葉区)との合築で身体合併症に対応するが、2拠点化による財政負担や人員配置に課題があるとした。

 県内では身体合併症に関し、急性の精神症状のある患者の受け入れ時に脳などの身体的異常が原因かどうかの確認体制が不十分といった課題がある。

 富田博秋会長(東北大大学院教授)は「身体合併症対応の充実は必要だが、名取でそれを目指すというのが現実的だ」と述べた。

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