宮城県総生産、最高の10兆円 18年度・基準改定で上振れ 「富県」目標を達成

宮城県が国の基準改定に基づき過去の県内総生産を再計算した結果、2018年度の名目値が10兆円を突破し、過去最高を更新する見通しになったことが分かった。直近の経済情勢などを反映させる約5年ごとの見直し作業で判明した。詳細を詰め、近く公表する。

 県内総生産10兆円は、村井嘉浩知事が2005年の初当選直後から県政運営の柱に掲げる「富県戦略」の数値目標だった。就任から約13年間で約1兆5000億円増え、大台を達成した形だ。

 関係者によると、18年度の県内総生産は名目値で約10兆300億円台の後半になるもようだ。従来の基準による21年3月公表の名目値は9兆5123億円で、5250億円ほど上振れする見込み。

 分類別は製造業が400億円規模で増え、1兆6200億円台の後半に上方修正。卸売り・小売業は2200億円程度伸びて1兆5500億円台、不動産業は600億円以上の上積みで1兆2000億円近くになるとみられる。農林水産業は130億円規模で減り、1300億円台後半に下方修正される可能性が高い。

全国一律の改定

 06年度の県内総生産の名目値は8兆5910億円。県は07年当時の年平均成長率(1・77%)に0・5%上乗せして成長曲線を描く前提で試算し、およそ10年間で10兆円に届くとした。

 リーマン・ショック(08年)や東日本大震災(11年)を経て15年度に9兆円を超えたが、以降は9兆3000万~9兆5000万円台で頭打ちとなった。

 県総合計画「新・宮城の将来ビジョン」(21~30年度)は、前計画で明記されていた県内総生産10兆円の文言が消えた。村井知事は20年の県議会9月定例会で、トヨタ関連企業の誘致効果などに触れつつ、旗を降ろした理由について「今後の人口減を考えると、10兆円はあまりに無理な目標。現実的な対応をした」などと答弁していた。

 今回の基準改定は全国一律。国内のモノやサービスの取引状況を含めて経済活動を総合的にまとめた「産業連関表」が最新の2015年版となり、更新内容などを反映させた。建設や不動産の分野で分譲住宅の販売マージン、非住宅不動産の売買仲介手数料の計上などが付加された。

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