宮城県が2011年度に実施した県有地売却の入札で、落札された7件のうち、6件が東日本大震災の被災市町にある物件だったことが18日、同県のまとめで分かった。6件とも震災前に複数回の入札が行われたが、不調に終わっていた。被災地の土地不足が背景にあり、予定価格の約1.7倍で落札された物件もあった。
11年度に入札を行った県有地は計20件。落札された沿岸部の6件は気仙沼市の1件と亘理町の5件。落札額は全て予定価格を上回り、予定価格総額6733万円に対し、落札総額は7816万9000円。落札率は116.1%だった。
落札率が最も高かった物件は、亘理町の亘理高校宿舎跡地の一部(約305平方メートル)で165.3%。予定価格666万円に対して2件の入札があり、1101万円で法人が落札した。
気仙沼市の気仙沼高校長宿舎跡地(530平方メートル)は7回目の入札で落札され、予定価格667万円に802万円の値が付いた。05年度に初めて入札にかけられて以降、6回連続で不調となっていたが、今回は3件の入札があった。
亘理町の蚕業試験場跡地の一部(351平方メートル、落札価格284万円)は6回目の入札だった。同町の亘理農業改良普及センターの一部(451平方メートル、同360万円)は、県が08年度から実施するインターネット入札で、県有地としては初の落札物件となった。
人気が高まった背景には土地需要の急増がある。6件はいずれも津波浸水地域の周辺に位置し、被害がなかった。6件のうち4件は宅地。地元での住宅再建などを目指す被災者らにとって、適地になったとみられる。
過去の入札で不調が続き、売却予定価格を下げてため、「物件によっては値ごろ感が出たのではないか」(県財産利用推進室)との見方もある。
県財産利用推進室の担当者は「11年度は被災した沿岸部の土地不足が影響した可能性がある。売却後の用途は把握していないが、有効に活用してもらいたい」と話した。
2012年07月19日木曜日