家電販売、「酷暑」で好調 売れるエアコン、薄型テレビも価格「底打ち」

家電販売が「酷暑」を追い風に、好調に推移している。電力料金の値上がりもあって、冷蔵庫やエアコン、掃除機などの生活家電は省エネ性能の高い製品への買い替えが進んでいる。
一方、薄型テレビはエコポイントやアナログ放送の停波に伴う「特需」の反動が未だに大きく、厳しい状況が続いている。ただ、下落傾向にあった価格がようやく底をついたようだ。
「生活家電」安定した買い替え需要と根強い節電志向で伸びる
家電市場を調査するジーエフケーマーケティングサービスジャパンによると、2013年上半期(1~6月)の家電小売市場は、6月に家電量販店の売上高がアナログ放送の停波以来約2年ぶりに前年を上回り、「下半期に向けて回復の兆しがみられる」とした。
家電量販店大手4社の6月の売上高(全店ベース)は、4社とも前年同月比でプラス。これは「テレビ特需」があった2011年7月以来、じつに1年11か月ぶりのことだ。
最大手のヤマダ電機(単体)の売上高は、前年同月比10.0%増、ビックカメラはコジマなどのグループ合計で8.8%、エディオンは17.8%、ケーズホールディングス16.4%と、それぞれ大幅に伸びた。
上半期の家電市場をけん引したのは「生活家電」。安定した買い替え需要と、根強い節電志向に支えられたことが要因。2年ぶりに夏のボーナスの支給が増えたことも後押しした。
とくにルームエアコンと冷蔵庫は、6月に大きく伸びた。エディオンはエアコンが前年同月に比べて65.4%増、冷蔵庫は46.9%増。ケーズHDもそれぞれ51.1%増、23.6%増だった。
GfKジャパンの調べでは、上半期のルームエアコンは前年同期比9%増の390万台。1~2月の寒さが厳しかったうえ、5~6月は気温の上昇時期が早く、夏季需要が順調に滑り出すなど、需要を喚起する機会に恵まれた。
省エネ性能が年々向上しているエアコンは、高い買い替え需要が販売を下支えし、さらに通年使用の訴求が押し上げに貢献しているとしている。
冷蔵庫は、前年同期比5%増の249万台。掃除機は前年比7%増の418万台で、なかでもロボットタイプは55%増。販売台数は3年前と比べて4倍も伸びた。洗濯機は1%増の277万台と安定した販売を維持した。
「高画質」「大画面」4Kテレビに高まる期待
とはいえ、2013年通年の家電小売の市場規模としては、消費増税の駆け込み需要を見込んでも、「前年をわずかに下回る」とGfKジャパンはみている。
7月の売上高は、ヤマダ電機が前年同月比6.8%減、ビックカメラ4.3%減、エディオン8.2%減、ケーズホールディングス6.3%減と、それぞれ減少した。月後半の天候不順が響いたほか、薄型テレビやブルーレイレコーダーなどが低迷した。
GfKジャパンによると、2013年上半期の薄型テレビは前年同期比33%減の320万台。生活家電の伸びを、薄型テレビが食っている構図は相変わらずだ。
しかし、下落が続いていた価格は平均5万6500円と、前年の上半期から13%上昇。「底打ち」したもよう。
また大画面テレビへのニーズが高まり、50インチ以上の構成比(数量ベース)は2012年通年の5%から8%へ拡大。新製品の投入が相次いだ高画質の4Kテレビが「この拡大の一端を担った」としている。
4Kテレビは2012年12月以降、数量、金額ともにプラス成長。13年5月には数量で前年比18.3%増、金額で12.7%増と伸びている。50インチ以上の大画面テレビにおける4Kテレビの構成比は2013年初には1%に満たなかったが、6月には7%に広がった。
GfKジャパンのアナリスト、山形雄策氏は「4Kテレビはこの秋も新製品の発売が予定されています。メーカーも家電量販店も『推せる商品』として力を入れていますし、年末商戦に向けて盛り上がるでしょう」と話している。

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