富士通、NEC、NTTドコモは、スマートフォン(高機能携帯電話)用半導体の共同開発を打ち切ることを決めた。合弁会社を今夏にも清算する。開発費不足などで高性能、低価格な製品を生み出せず、今後も先行する海外勢に対抗するのは困難と判断し、清算を決めた。
3社は平成24年にアクセスネットワークテクノロジ(川崎市、ANT)を設立。無線通信や信号を制御する、スマホの「頭脳」とも呼ばれる「ベースバンドチップ」という半導体の開発を進めていた。
このベースバンドチップは米クアルコムが4割のシェアを持っており、3社は同社からの調達依存を回避するため、新会社を設立した。だが、最近では中国で人気のある低価格スマホ向けに強い台湾のメディアテックなども急成長。
さらに3社は今後、開発費の投入も見込めないことからANTを清算することで合意した。技術者ら約90人の従業員は、富士通をはじめとするそれぞれの出身母体に戻す。