タワーマンションなど都内にあるマンションは、その価格が1億円以上になるものも少なくありません。なかなか買えるものではありませんが、経営者や士業の先生、外国人投資家など、資力のある人たちには人気が高く、その倍率も高くなっています。
富裕者層向けマンションということで、その設備や付帯サービスも充実したものが多いのですが、実際にはどのようなサービスが必要とされ、逆に不要と思われているのでしょうか。
■子育てしやすい環境は収入に関係なく、親として絶対に気になる設備
高級マンションに住む・住まないにかかわらず、富裕層か否かによらず、子育てというのは、どの親にとっても非常に優先順位の高い問題です。
子どもが安全に過ごせるのか、充実した子育てをできるのか。特にタワーマンションに住むような夫婦は、共働きで多忙な生活を送られているケースも多く、自分たちが不在の間に子どもを扱ってくれるような保育施設があると重宝されます。
また、バルコニーで小さい子を遊ばせるのは危険ですから、子どもが思いっきり遊べるようなキッズルームも重宝されます。
ただし、年数が経って、小さな子供がいなくなると、保育所やキッズルームの需要は一気になくなります。住民が入れ替わるサイクルが定着していれば問題ありませんが、住民の誰も使用しなくなると、管理費用の負担だけが残る場合もあります。居住者の年齢層を見ながら、需給バランスが見合っているかどうかを把握することが大切です。
■コンシェルジェは便利だが、プライバシーの漏洩にも
マンションの入口で、荷物の受け取りや来客の案内、場合によっては商品の手配なども行ってくれるのがコンシェルジェサービスです。住人たちで共用している執事ともいえる存在で、家を不在にしがちな人にとっては大変ありがたいものでしょう。
しかし、これを維持するための人件費は高く、24時間体制ともなるとかなりの負担になります。
先日、「有名芸能人の自宅にコンシェルジェが侵入し、逮捕された」というニュースも伝えられました。このため、コンシェルジュにプライバシーを覗かれるという懸念を持つ人もいるようです。家族が家に居れば不要になることもあり、将来的な需要の拡大はあまり見込めないかもしれません。
■機械式駐車場はそのうち費用の負担が増える
都心ではどうしても土地の確保が難しいので、駐車場は室内に設ける機械式のものがメインになります。これは屋外式の駐車場よりはるかに維持費がかかり、住民が減ると、残った住民の負担が大きくなります。さらに定期的なメンテナンスや機械の入れ替えも必要です。
富裕層とはいえ、無駄な設備にお金をかけるのを嫌う人は多いでしょう。また、富裕層向けのマンションがあるような都心に住んでいると、電車やバスなどの公共交通機関や、タクシーなどでの移動で十分というケースもあり、自家用車を持たない人もいます。そのため、都心の一等地ならば駐車場の重要性はそれほど高くないといえるでしょう。
■ジム、シアタールームなど娯楽系の設備は
富裕層向けマンションの中には、ジムやプールに大浴場のほかに、シアタールームやバーなど娯楽系施設が設けられているものがあります。
しかし、ジムやプールなどは多くの人間が一度に利用するものです。利用者は同じマンションの住民であり、普段から顔を合わせる機会もあります。また、設備導入時こそ最新式のものでしょうが、専門のジムではありませんし、機械の入れ替えが出来ないまま、やがて設備が古くなり、中途半端で使いにくいものになってしまうかもしれません。
シアタールームやバーも、予約をする手間がかかることや、他人への配慮が気になるなどの理由で、結局は一般の映画館やバーが利用されるようです。最初は目新しさもあり、マンションの設備を使う人も多いのですが、次第に同じものを使うのに飽きて、利用者が減ってしまうケースが多いようです。
■無駄を排した機能的なものがいい
充実した設備の富裕層向けマンションは、一見すると豪華で人気が高そうにみえます。しかし、富裕層が本当に求める設備とは、実生活において有用なものだということです。「流行を追って、とりあえず付けた」というような設備やサービスは、あっという間に使われなくなり、管理費の無駄使いになる可能性が高いのです。
マンション購入時は、付帯設備についてもよく調べて、実生活に必要な機能的なものかどうかを判断してから決めるようにしましょう。(提供:不動産投資ジャーナル)