奥州街道の宿場町として栄えた宮城県富谷市富谷のしんまち地区の資源を掘り起こし、新たな観光ブランドをつくろうと、富谷しんまち活性化協議会が発足した。2020年の開宿400年に伴う市民協働プロジェクト。市の礎を築いた地区の魅力を磨きつつ、古里意識の醸成を図る。
協議会は商工業や市の関係者、研究者、地元町内会長ら委員33人で構成し、7月10日に設立。テーマ別に3部会を設け、活動の柱となる活性化ビジョンの策定やカレンダー、ウェブサイトの制作、「富谷茶」関連のイベントなどに取り組む。
カレンダー作りは地区に息づく物語を形にして、PR素材にするのが狙い。住民や商店などの取材成果を基に、家族を題材にした作品で知られる写真家浅田政志さんが写真を撮影する。
7月28日には委員や一般参加者約30人がしんまち地区を探訪。歴史資料を展示する民芸品店「冨谷宿」の店主佐藤紀雄さん(79)らの案内で、県内最古の酒蔵「内ケ崎酒造店」や、大和町出身の歌人原阿佐緒が東北帝大教授石原純と落ち合ったという「恋路の坂」などを巡った。
協議会会長の水道設備業会津聡人(あきひと)さん(41)は「富谷の歴史を多くの人に知ってもらい、しんまちのにぎわいづくりにつなげたい」と話した。
今月28日には、古民家を活用した宿泊施設「シェアビレッジ」が注目される秋田県五城目町を視察し、地域再生への知見を深めた。
かつて中心地だったしんまちは商店などが減った一方、18年7月に旧富谷町役場を改修した市まちづくり産業交流プラザ(とみぷら)がオープンし、起業関連などの新たな往来が生まれている。
協議会顧問の若生裕俊市長は「村から町、市へと発展した富谷の原点を後世に伝えていくためにも、しんまちの魅力づくりに力を入れたい」と語る。