東北工大(仙台市)が対面授業の様子を自動録画し、学生の復習用に公開する取り組みを始めた。新型コロナウイルス禍で導入したオンライン授業は「何度でも見返せる」と好評だったため、新たな学習支援策として対面授業も収録することにした。
1年分を保存
自動録画は4月に開始。教室の天井や後方に取り付けられたカメラで黒板と教員用パソコンの2画面を録画し、教員の声を小型マイクで拾う。黒板の片隅には「授業を録画しています」のステッカーが張られている。
八木山、長町両キャンパス(太白区)の全46教室のうち33教室にカメラを設置し、全授業の8割をカバーする。動画は数日以内に学内の学修支援システム「ウェブ・クラス」に載せ、履修学生に限って公開。オンライン上の時間割から希望する授業が見られる。過去1年分を保存する。
コロナの濃厚接触者や体調不良で自宅静養する学生なども利用でき、事前申請が認められればリアルタイムでも配信を受けられる。建築学部2年の遠藤翔さん(19)は「対面授業で聞き取りにくかったり、板書が見えにくかったりしたときに使う。試験が近づいたら、もっと活用したい」と歓迎する。
教員も参考に
録画システムは昨年度、オンライン授業の事前収録や生配信のため8教室で導入した。小林正樹副学長は「コロナ対応として始めたが、ICT(情報通信技術)を活用した学習支援サービスに発展した。教員も互いの授業を見て参考にすれば、教育の質向上にもつながる」と期待する。
事業費は約9500万円で、うち約1600万円は国が補助する。全教室にカメラを設置し、全授業を配信することも今後検討する。