小中学生はスマホで何してる?親が知る由もない最新事情

以前、10代女子が利用するSNSと具体的な使い方についてお伝えした。そこで今回はもう少し年齢層を下げ、イマドキの小中学生はスマホで何をしているのか、最新事情についてお伝えしたい。(ITジャーナリスト 高橋暁子)

「YouTubeが見たいからWi-Fiのある店にして」

 小学生の子どもを連れて外食に出かけると、親は子どもからこう言われるそうだ。イマドキの小学生は、ネットで動画を見たりゲームをしたりするだけではない。自撮りを投稿している話も少なくない。

 例えば若者を中心とした短編動画のコミュニティのTikTokのアプリを起動して見ると、「#有名になりたい」「#タレントになりたい」といったハッシュタグをつけ、「かわいい!」といった称賛するコメントに「ありがとうございます!」とタレントのように答えている女子小学生がたくさん見つかる。

 ネット上のやり取りに慣れている小学生は思った以上に多く、小学生同士でオフ会をする約束をしていたり、誹謗中傷のコメントに激しい言葉で応酬したり、「LINEを交換しようよ」という依頼を上手に受け流す例も見られる。すべて、ダイレクトメッセージなどではなく、コメント欄で堂々と行われていることだ。

スマホを与えていないから ウチの子は大丈夫と安心していないか?

「ウチの子にはスマホを与えていないから大丈夫」という保護者もいるが、果たして本当に安心していいのだろうか。

 内閣府の「平成29年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(平成30年2月)によると、小学生のスマホ所持率は年々増え続け、平成29年時点で29.9%、インターネット利用率も同様に23.0%という。

 子どもたちがネットを利用するにあたって使用する機器はスマホにとどまらない。タブレット(学習用含む)、携帯ゲーム機、据置型ゲーム機、携帯音楽プレーヤー等々、さまざまだ。

 このような機器は小学生がいるほとんどの家庭にあり、ネット利用率は平成29年で65.4%と右肩上がりに増え続けている。

 同時に、「家庭用Wi-Fiのパスワードを子どもには内緒にしていたが、こっそり使われていた」「子どもが街角の無料Wi-Fiスポットを知っていて使いこなしていた」という話も聞く。つまり、ほとんどの小学生はネットに接続できる環境にあり、自由にネットにアクセスしているのだ。

 ではSNSについてはどうだろうか。デジタルアーツの「第11回未成年者の携帯電話・スマートフォン利用実態調査」(平成30年1月)によると、小学生のSNS利用率は「LINE」が小学生男子(4〜6年)で71.8%、小学生女子(4〜6年)で63.1%、「YouTube」が同男子で59.2%と同女子で49.5%、「Twitter」が同男子で18.4%、同女子で12.6%などとなっている。多くの小学生がSNSを利用していることがわかる。

ゲーム実況・YouTuber動画を 見続ける小学生たち

 ネット利用で小学生のいる親から相談を受けるのが、主に動画とSNS。それらの問題は、(1)長時間利用や依存傾向と、(2)個人情報流出や炎上、(3)出会い系被害や児童ポルノ被害の3つに分けられる。

 小学生の保護者に一番よく相談されるのが、「子どもがYouTubeにはまっており、やめろと言っても何時間でもずっと見ている」という。

 多くの小学生が好むのが、YouTuber動画だ。「マイクラ(Minecraft)の実況動画を毎日ずっと見ている」という男の子は多い。小学生が買ってもらえるゲームは限られているため、手が届かないゲームの実況動画を見て楽しむのだそうだ。「ゲームをする時間は決められているから、できない時間は動画を見ている」という小学生も少なくない。

 次々表示される関連動画を見ているうちに、子どもに人気のキャラクターを使った有害な動画「エルサゲート」をYouTubeで見てしまった話は、複数聞いている。それでも子どもたちは、「テレビよりもYouTubeが好き」なのだそうだ。

 小学生の中で自分のスマホを持っている子どもは、まだそれほど多くはない。ところがLINEに関しては、母親のスマホを借りて友だちと連絡を取り合うというのだ。

 自分のスマホを持っている小学生の1人は、「友だちにLINEスタンプを連打して合図を送る」という。スタンプ連打が「ゲームをやろう」という合図となり、同じ時間にゲーム機の前に座り、同時にゲームに接続してプレイする。ボイスチャットで話しながらゲームをするのでとても楽しいそうだ。

個人情報流出や 出会い系の被害につながるケースも…

 小学生の子を持つ親が最も心配するのは撮影や投稿ではないだろうか。

 ある保護者からは、「子どもが勝手に動画を投稿していて驚いた」という話を聞いた。アプリ内に録画ボタンがあり、タップしていけば小学生でも簡単に投稿までできてしまうのだ。

 小学生の場合、警戒心がなく、動画内で学校名や住所、本名を公開してしまったり、個人を特定されるなどの例も少なくない。実際、小学生の時に、顔出し・本名で恥ずかしい動画を上げてしまったために、中学になると友だちから「YouTubeやっていた?」と聞かれて困っているという。

 さらに動画ソーシャルアプリ「TikTok」を入れて「TikTokをよく見る」という子どもが増えてきたことだろう。

 その影響は小学6年生のひなた(野々山ひなた)さんではないだろうか。元々子役だった彼女はTikTokがきっかけで人気に火がつき、ファン(フォロワー)数トップ1.4M(=140万のフォロワー)。タレントやモデルに憧れる女の子の中には、勝手に動画を投稿している子が少なくないのだ。

 冒頭で説明したように、他のユーザーとコメントのやり取りをしている小学生も少なくない。警察庁少年課情報技術犯罪対策課の「平成29年におけるSNS等に起因する被害児童の現状と対策について」を見ると、小学生の被害も全体の2.3%と少ないが、実際に被害が起きているので動画の投稿にあたっては個人情報が漏れないよう注意してほしい。

中学で一気にはまるLINE、 依存状態に注意

 では、中学生になると問題はどのようになっていくのだろうか。

 小学生ではスマホを持たせていない家庭でも、「中学生になったらスマホを購入する予定だ」というところは多い。小学校教員に話を聞くと、大抵「(うちではまだ起きていないけれど)近くの中学校ではスマホの問題が起きていて…」と悩みを打ち明ける。

 実際、中学生になったら入学時期にスマホを持ち始め、自由に使い始める子どもはとても多く、それと共に親の知らないところで問題が起きることが多いのだ。

 前述の「第11回未成年者の携帯電話・スマートフォン利用実態調査」によると、「LINE」利用率は男子中学生で81.6%、女子中学生で86.4%まで増える。同様に「YouTube」が男女とも52.4%、「Twitter」は男子が23.3%、女子が21.4%などと小学生に比べて利用率が高くなる。

 このように、中学生ではLINEの利用率が一気に上る。SNSでのやり取りは楽しく、はまってしまい、睡眠時間を削って利用する子も少なくない。LINEいじめも中学生頃から徐々に見られるようになる。中学1年生はいじめが一番増える時期でもあるので、その点でも注意が必要だろう。

 中学生になると、スマホをこっそり持ち込み、TikTokを起動させ、校内で撮影する話を耳にする。制服姿で投稿するため、学校が特定されてしまい、学校に抗議の電話がきてしまったケースがあるほどだ。

 スマホに慣れるにつれて、中学生から大学生を対象にしたアプリ「ひま部」を利用したり、ライブ&動画コミュニティーのアプリ「MixChannel」を利用し始める女子中学生も出てくる。

 小学校時代よりも積極的に動画などを投稿したり、それまでのようにコメント欄ではなく、一対一で通話やメッセージなどで他のユーザーと交流したりする子が増えてくる。それに伴って、出会い系被害に巻き込まれたり、自分で撮影したヌードを送らされて悪用される「自画撮り」被害も増える時期だ。被害件数は小学生時代よりも一気に増加するので、こちらもやはり注意してほしい。

 中学生になると、どのようなアプリを使い、誰とどのようなやり取りをしているかを親に教えなくなる子どもは多い。子どもがスマホを本格的に利用し始める前に、どのようなリスクがあるのかを教え諭すと共に、家庭ごとの利用ルールを決めておくといいだろう。スマホを使う際は、くれぐれもトラブルに遭わないよう気を付けてほしいと思う。

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