生息数が減少しているとされる小型鯨類のスナメリが大阪湾南東部で繁殖している可能性が高いことが専門家の調査で分かった。これまで大阪湾での生息実態については不明な点が多かった。大阪湾の環境が改善しているとみられ、専門家は「スナメリが適応しやすい環境を増やさなければならない」としている。
スナメリは日本では仙台湾を北限に、伊勢湾や瀬戸内海、有明海など水深が浅い海域に生息。平成12年の調査で、最大の海域である瀬戸内海には約7600頭が生息していると推計されたが、大阪湾についてはデータがなかった。
調査したのは動物の飼育員を養成する大阪コミュニケーションアート専門学校(大阪市)教員、近藤茂則さん(39)ら。
17年10月~19年1月に実施した大阪湾を横断するフェリーからの目視調査で72頭を確認。大阪府の海洋調査船の記録を集めたところ、16年4月~19年12月に約65頭に遭遇していたことも分かった。目撃数の多さから繁殖している可能性が高いという。
約8割が関西空港より南の大阪府泉南市から岬町にかけての沖合。関空以北は埋め立てなどの影響でスナメリの生息に適していないとみられる。
神戸市立須磨海浜水族園(同市須磨区)も5月から岡山県沖など瀬戸内海東部での調査を開始し、得られたデータを保護に活用する方針。