小峠、オードリー高評価 「テレワーク芸人」に求められるもの

新型コロナウイルスの影響が大きいテレビ界。感染防止のため、自宅や別室からの中継で生放送に出演する「テレワーク出演」が増加中だ。

 その基本的なパターンは、別室の出演者がモニターに映し出され、画面を通してメインMCとやり取りする、というもの。生放送の情報番組やワイドショーで多い手法だ。

「コメンテーターがズラッと並んでいるワイドショーや“ひな壇”にたくさんのタレントがいるようなバラエティーは今は無理。特に芸人にとっては出番も減少しています。しかし一方で、テレワークで魅力を発揮する芸人も増えています」(テレビ局関係者)

 4月19日放送のTBS系『サンデー・ジャポン』では、バイきんぐ・小峠英二がスタジオ外からの中継で生放送に登場。スタジオにいたMCの爆笑問題・太田光に「(小峠は)このまま一生リモート芸人です」とイジられる場面もあった。

 小峠は、日本テレビ系情報番組『ヒルナンデス!』に、日テレロビーからの中継で出演し、その様子が話題になっていた。エンタメライターの大塚ナギサ氏はこう話す。

「スタッフは離れたところからカメラを操作していて、ロビーには小峠さんが一人ぼっち。その状況で戸惑いながら、MCの南原さんとやり取りする様子は、シュールでとても面白いものでした。もちろん特殊な状況下だからこそ生まれた笑いでしたが、小峠さんの“テレワーク芸人”あるいは“リモート芸人”としての可能性を感じた人も多かったと思います」

 小峠だけでなく、各曜日のレギュラーたちが、テレワーク出演している『ヒルナンデス!』。そのなかで、特にテレワーク芸人としての才能を発揮しているのがオードリーの2人だ。

「オードリーはコンビで同じ場所からテレワーク出演しているのですが、2人の間の距離も保たなければいけないという課題もあるわけです。そういった事情も逆手に取って、2人は手前と奥とで離れてカメラに映り、いろいろな構図を見せることで楽しませていました。また、春日さんはその肉体美を存分に見せつけるなど、スタジオ外であるのをいいことに、好き勝手やっていましたね。

 いずれも、普通にスタジオにいたらできない“ボケ”です。モニターの向こう側で繰り広げられる非日常的な様子と、スタジオの落ち着いた雰囲気とのギャップをうまく笑いに変えていたという形ですね。オードリーの2人も一連のテレワーク出演に手応えがあったのか、『オールナイトニッポン』では若林さんが春日さんを褒める場面もありました」(大塚氏)

 遠隔地からの中継であることをうまく活かしているテレワーク芸人たちだが、いつまでもこのパターンが通用するわけではないとの声も。ある構成作家はこう話す。

「テレワークでの笑いは、シチュエーションが限定された中での“ボケ”なので、そんなにたくさんのパターンがあるわけではない。今はまだ物珍しいのでウケていますが、すぐにそのパターンは使い尽くされてしまうでしょう。つまり、決して賞味期限が長いものではないんです。

 最終的にはスタジオとしっかりコミュニケーションが取れる芸人がテレワークで重宝されると思いますよ。それこそ小峠さんや陣内智則さんなど、的確かつ鋭くツッコミを入れられる芸人さんであれば、安心して起用できる。“地肩”が強い芸人さんこそが、テレワーク芸人として活躍するのではないでしょうか」

 しかし、『ヒルナンデス!』のようにバラエティー色の強い生放送の情報番組であればテレワーク芸人の面白さを発揮できるが、ワイドショーのような報道色の強い番組では難しい部分もある。

「ただでさえ、時事ネタは笑いに変えるのが難しいのに、場の空気が読みづらいテレワーク出演だと、相当な実力者でないとなかなか対応できないはず。それこそ、モニターの中からボケとして発した言葉の意味がスタジオにまったく伝わらず、とんでもない空気になってしまうこともあると思います。しかも、時事ネタを扱うということで、多少不謹慎なボケになる可能性も高く、その分炎上リスクも大きくなる。そういったリスクを考えると、ワイドショーへの芸人出演は減っていくかもしれないですね」(前出・テレビ局関係者)

 テレワーク出演の増加によって、芸人の立ち位置に変化が生じてきているのは事実。いかにこの状況に対応できるか、芸人の腕の見せ所だろう。

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