読売新聞社は、少子化に関する全国世論調査(郵送方式)を実施した。少子化対策の財源を社会全体で負担することに「賛成」とした人は、「どちらかといえば」を含め68%に上った。政府の少子化対策の具体案への評価では、現金給付の拡充より、子育て支援制度の充実を重視する割合が高く、「手当より環境整備」を求める意識が浮き彫りになった。
社会全体で少子化対策の財源を負担することについて、世代別の意識をみると、出産や育児の中心となる18~39歳は、「どちらかといえば」を含めて「賛成」が77%で、40~59歳の68%、60歳以上の64%を上回った。
岸田首相が掲げる「次元の異なる少子化対策」の具体案については、手当より環境整備に期待する傾向がみられた。安全・安心に出産できる環境作りに向けた出産費用の保険適用について、「大いに」と「ある程度」を合わせて「期待できる」は75%に上った。親の就労の有無を問わず、全ての子育て世帯が保育施設を利用できるようにする「こども誰でも通園制度(仮称)」は68%、育休中の収入保障を拡充し、男性の育休取得を促すことには59%が「期待できる」とした。
一方、児童手当の所得制限を撤廃し、支給対象を高校生の年代まで拡大することには44%、第3子以降の児童手当の増額については46%が、「期待できる」と答えるにとどまった。
少子化対策の実現に向け、政府は、年3兆円台半ばの追加予算を確保する方針だ。その財源への賛否では、増税については73%、社会保険料の引き上げは76%、社会保障費の削減は70%、国債の発行については54%が、「どちらかといえば」を含めて「反対」と回答した。
少子化が日本の将来にとって、深刻な問題だと「思う」は、「どちらかといえば」を含めて92%に達した。今の日本は子どもを産み、育てやすい社会だと思うかを聞いたところ、「思わない」が「どちらかといえば」を含めて77%だった。
調査は7月18日~8月25日、全国の有権者3000人を対象に実施し、1972人から回答を得た(回答率66%)。