鉄格子の中に囚われの身となった少年たち(写真1)。逆さ吊りにされた2人の男性の傍らで、鞭を持った官憲の男が子供を尋問する(写真2)。島の外に人を逃がすまいと夜闇を照らすサーチライト(写真3)。
まるでナチスのアウシュビッツを彷彿とさせる。だがこれは、2016年に韓国で出版された絵本「恥ずかしい世界文化遺産 軍艦島」の一部だ。軍艦島とは言うまでもなく、長崎県沖に浮かぶ、明治から昭和にかけて稼働していた海底炭鉱の洋上拠点。近年、世界遺産に登録されて再び注目を集めているが、
「この絵本は、軍艦島に観光旅行で訪れた韓国人の女の子が、途中で家族とはぐれ、戦時中にタイムスリップする物語。ですが、内容が事実とかけ離れているのです」
そう嘆くのは、かつての軍艦島の様子について検証を重ねている「産業遺産国民会議」専務理事の加藤康子さん。
「絵本では“朝鮮半島から日本人によって強制連行された少年たち”が、まるで“奴隷のように”働かされていますが、実際に軍艦島で働いていた複数の方に絵本を見せると、そんなことはなかったときっぱり否定されます」
在日朝鮮人の労働者もいたそうだが、
「家族連れの方もいましたし、単身で来られて後で家族を呼び寄せた人も随分いらっしゃいます。給料や待遇は職能によって決まっていました」
つまり、
「描かれているような鉄格子の部屋も、少年の奴隷労働も見た人はおらず、サーチライトの塔など存在すらしません。むしろ皆で支え合い、仲良く暮らしていたと多くの方が証言なさっています」
こうまでして反日感情を煽ろうとする、何とも困った隣人である。