少数意見でもたちまち自粛……缶チューハイ「カエル騒動」に見る、“ネット時代のクレーム対応”とは

俳優の大沢たかおが出演していたキリンビールの缶チューハイ「本搾り」のCMが、アルコール問題を扱う団体から「キャラクターを使った表現方法が未成年者の関心を誘い、飲酒を誘発しかねない」との指摘を受け、キリンビールは23日、放送中止を発表した。
 同社は「指摘を真摯に受け止めた。CMに関する社内基準を厳しくして再発防止に努める」とし、31日まで予定していたキャンペーンも、終了を一週間ほど繰り上げる対応を取った。
 このCMは、顔と手にカエルのかぶり物を身に着けた人物が、大沢に「一度ひっくり返れば分かるよ、たかお」「一緒に想像しよう、ひっくり返る缶の中。果汁が躍ってるねえ」などと話しかける内容。今回の抗議に対し、ネット上では「内容以前に、酒とたばこのCMは一切反対」「カエルより、ほかのアルコールCMに出ているPerfumeや嵐のほうが、よっぽど未成年飲酒を誘発するのでは?」「黄桜のカッパはよくて、カエルはダメってどういうこと?」などの意見が飛び交っている。
「最近では、人権団体が抗議会見を開いたドラマ『明日、ママがいない』(日本テレビ系)が、“放送継続”の強気の姿勢を示しているが、CM業界はそうはいかない。たとえクレームが少数意見であっても、たちまち自粛に追いやられてしまう。CMには、企業や芸能事務所などあらゆる会社が関わっていますから、後処理も大変です……」(広告代理店関係者)
 今月20日にも、芸人のバカリズムが出演する全日本空輸(ANA)のCMが、“金髪のかつら”と“付け鼻”が「外国人の容姿を差別的に表現している」との指摘を受け、放送取りやめに。これには、以前から自身のDVDなどで外国人の扮装をしてきた爆笑問題の太田光も、ラジオで「これもダメか……」と言葉を失っていた。
「24日にも、ファミリーマートから発売予定だったフォアグラ入り弁当に『フォアグラの育て方が残酷』などという苦情が22件寄せられ、発売中止になる騒ぎが起きた。企業への苦情自体は大昔からあったが、昨今のネットの普及により、匿名で手軽に苦情を送れるようになった上、Twitter上などで“あらぬイメージ”が拡散される環境も整っている。また、クレームが増えた背景には、東日本大震災以降の“不謹慎”という言葉の常用化が原因との指摘もあるようです」(同)
 予想不可能な内容の苦情により、次々と放送中止に追い込まれているCM業界。今回の“カエルCM”騒動は今後、アルコールのCMにどのような影響を及ぼすのだろうか?

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