「かんなみ新地」と呼ばれる兵庫県尼崎市内の風俗街が同市と尼崎南署から風営法に基づく警告を受けた問題で、約30店でつくる「かんなみ新地組合」が23日までに解散したことが、関係者への取材で分かった。既に約10店が市に廃業を申請しており、一部は風俗営業をしない一般の飲食店として営業を続けるという。 【写真】日が暮れても、人気のないかんなみ新地。店先ではパトカーが赤色灯を回して警戒している 終戦直後から約70年間、飲食店での自由恋愛を名目に黙認されてきた色街がついに姿を消すことになる。 警告は1日に市長と署長が連名で出し、「実態は性的サービスを専門としている」として中止を要請。一帯の店は一斉に閉じたが、機を見て再開する可能性もあるとみて注視していた。 関係者によると、組合の代表は警告を受けて風俗営業をやめるよう各店に伝え、解散することになった。健全な飲食街として出直す計画もあり、一部は弁当店やスナックとして既に営業を始めている。 警告後には空調設備の部品が盗まれる被害もあったといい、16、17日にはほぼ全店が布団や冷蔵庫などの備品を一斉に粗大ごみとして廃棄した。 尼崎市内にはかつて「青線」と呼ばれる風俗街が少なくとも9カ所あり、大半は1958(昭和33)年の売春防止法の完全施行などで閉鎖した。かんなみ新地は風俗営業の許可を得ずに唯一存続。関西で「飛田新地」(大阪市西成区)などとともに、遊郭の風情を残す色街として知られていた。