屋外広告禁止の国道で看板乱立 撤去進まず自治体も本腰 埼玉・川島

埼玉県川島町の圏央道川島インターチェンジ(IC)に近い国道254号沿いの一部区域は、約2年半前から県条例によって屋外広告物の設置が禁止されている。しかし、この区域では現在も、道路脇の水田などに約50の立て看板が立ち並んでいるのが現状だ。町では「条例の趣旨を理解してもらうよう土地所有者にも働きかけ、撤去を進めたい」としている。(清作左)
 県田園都市づくり課によると、川島町の国道254号落合橋北詰交差点~南園部交差点間約4キロの沿線両側50メートルの区域は、平成20年3月26日に県屋外広告物条例に基づく「屋外広告禁止地域」に指定された。それ以前は許可を受ければ設置は可能だったが、川島IC開通の影響で看板が乱立し川島町の田園風景が壊される恐れがあるため、禁止地域に指定されたという。
 川島町まち整備課によると、この区域は昨年8月、県から禁止地域だけでなく「野立て看板禁止モデル区域」の指定も受け、町では屋外広告の完全撤去に向け是正指導を強化し始めた。しかし、沿線の立て看板は一向に減っていない。
 同課が実地調査した結果、この区域の看板はいずれも禁止地域指定以前に設置され、ほとんどが未許可で設置されていたことが判明した。また、今年1月には新たに未許可で1つの立て看板が設置されていた。
 禁止区域内で看板を掲示しているある団体は「禁止区域になる前から許可を受けて看板を出している」とした上で、「禁止になったのは看板業者を通じて知っている。しかし、(町から)代替案を提示されず、訪れる人のためにも看板を残したい」と話す。
 まち整備課は調査結果を踏まえ、土地所有者に屋外広告禁止に関する手紙約70通を配布、周知を図っているという。同課は「知らない人がほとんどで、これから徐々に撤去を促したい。最終的には看板をなくしたい」としている。
 未許可で看板を設置していた広告代理店は今月上旬に指導を受け、町と是正計画を締結した。約1年かけて撤去するという。まち整備課では今後、土地所有者やほかの広告業者にも呼びかけ、既存の広告の契約を更新させないで撤去させていく方針だ。

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