宮城県は本年度、東日本大震災の沿岸被災市町を中心に建設が進む災害公営住宅を対象に、屋根を太陽光発電事業者に貸し出して使用料を得る「屋根貸し事業」をスタートさせる。対象は約3700戸を見込んでおり、今月中にも十数市町と事業推進に向けた協定を結ぶ。再生可能エネルギーの普及拡大とともに、災害に伴う停電時の電源確保などが狙い。
屋根貸し事業の対象となる災害公営住宅は、マンションや長屋、一戸建てタイプなど。
使用料は1平方メートル当たり年額50円程度で、事業期間は法律などに基づき約22年とする。約3700戸で太陽光発電した際の年間出力は、少なくとも約1000世帯(1世帯4人)分の消費電力量に相当する見通し。
県は10月ごろ、全県分を一括して事業者公募を開始する。災害公営住宅の入居者が停電時に無償で電気を使えることなどを条件に、公募型プロポーザル方式で募る。
12月ごろ、応募事業者の中から1社に決める予定。工事費は約12億円を想定し、太陽光発電設備の運転開始は2016年3月以降と見込む。
県内では、仙台、石巻両市や女川町など21市町に計約1万5600戸の災害公営住宅が建設される予定。21市町のうち7~8割の市町が、事業に参加する方向で調整が進んでいる。
東北電力によると、11年3月11日の県内の停電戸数は約142万4000戸に上った。県再生可能エネルギー室は「県全域で太陽光発電を導入し、エネルギーを効率的に使用する『スマートシティー』の形成につなげたい」と話す。