山ぶどうジュースをサウジへ初出荷 宮城・大崎「アグ・ピーポー」、ノンアル市場狙う

地域プロデュース業アグ・ピーポー(宮城県大崎市)は、久慈市の生産者と提携して販売する高級山ぶどうジュースをサウジアラビアに初出荷した。食品関連企業などでつくる東北・食文化輸出推進事業協同組合(名取市)との共同事業。同国をはじめ飲酒が禁じられている中東のイスラム教国で高級ノンアルコール飲料市場の開拓を目指す。
 出荷したのは、久慈市の佐幸本店が栽培・製造し、アグが企画・販売する「アメジストのしずく リッチテイスト」(720ミリリットル、箱なし、税別4000円)300本。皮ごと絞って真空状態で3年間低温熟成させた100%ストレート果汁で、深みのある濃厚な味わいが特徴だ。中東への輸出を手掛ける東京の企業などを介して10月以降、現地のホテルやレストランなどに納入される。
 アグ社は昨年から2年続けてアラブ首長国連邦のドバイでの展示会に組合メンバーとして出展するなど、中東市場開拓を図ってきた。サウジ向けの3月受注分は新型コロナウイルスの影響で白紙となったが、7月に再度、高価格帯の商品に変更した上、数量を増やして注文があった。「ノンアルコールワイン」として日本食レストラン以外でも消費が見込めることに加え、品質の高さが評価された。
 アグ社は東日本大震災後の11年9月、佐々木康二社長(51)が東北の生産者による高品質の農作物や加工品を国内外に広めようと設立。ジュースは山ぶどうのほかにトマトもあり、ともに高級レストランなどでの提供に向けたブランディングと販路開拓に取り組む。昨年はドバイの王族向けにも出荷した。
 佐々木社長は「お酒が飲めない人も高い満足感が得られる高級ジュース。需要開拓の取り組みがやっと形になってきた」と手応えを語る。ごく微量のアルコール含有に関して特に厳しいサウジの基準をクリアしており「実績をつくり、中東諸国に広げたい」と話す。

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