宮城県山元町は2014年3月に期限を迎える臨時災害放送局「りんごラジオ」の放送免許の更新を総務省に申請することを決めた。1年ごとに更新し、16年3月までの放送継続を目指す。来月にも申請予定で、19日の町議会9月定例会で可決された一般会計補正予算に更新手数料を盛り込んだ。
町は通常のコミュニティー局に移す方向だったものの、放送局側が事業費確保が難しくなると辞退。国の復興交付金を活用している現在の形を維持することにした。
りんごラジオは公設民営で、町が役場敷地内に開設している。元東北放送アナウンサーの高橋厚局長が中心となり、東日本大震災から10日後の11年3月21日に開局した。
局員は現在7人で、人件費など年間事業費1500万円に復興交付金を活用。コミュニティー局になれば、町の補助金やスポンサー収入などが必要になるという。
高橋局長は「復興途上にある住民からの税金を活用するのは心苦しく、企業の協力を得るのも難しい。町の復興のめどが立つ時期まで更新を継続したい」と強調。斎藤俊夫町長は「局側の考えを尊重した」と語った。
地元の方針について東北総合通信局放送課は「自治体の要望を受けた上で、必要があると判断すれば再免許を交付する」(放送課)と説明する。
臨時災害放送局は震災後、岩手、宮城、福島3県の各地で開設されている。りんごラジオと同時期に免許の期限を迎えるケースが多い。