山元町にガラスハウス 農水省が復興事業、イチゴ実証研究

農林水産省が本年度第3次補正予算で進める「被災地の復興のための先端技術展開事業」で、宮城県山元町に大規模な全自動ガラスハウスを整備し、イチゴなど施設園芸の実証研究を行うことが21日、分かった。同省は名取、釜石両市でも同事業で別の研究に着手しており、成果を被災地の再生につなげる考えだ。
 ガラスハウスは東西90メートル、南北80メートル、高さ4.5メートルで床面積は7200平方メートル。自動的に窓の開閉や散水をすることにより生産管理の省力化などを研究するのが狙いで、ハウス完成後はイチゴやトマトで実証する。農機材メーカーと慶応大などが研究に当たる。
 宮城県名取市では、ホウレンソウの機能性成分を高める研究が行われる。宮城県農業・園芸総合研究所などが同市周辺で栽培されたホウレンソウを採取し、成分を分析。機能性成分の含有率を上げ、付加価値の高い品種の開発・栽培を目指す。
 岩手県釜石市ではアワビやウニの放流用種苗の増殖システムを研究する。アワビは東日本大震災の津波で稚貝が流されたため、親貝となる4~5年後の採取が危ぶまれており、岩手県水産技術センターが残った親貝から種を取る方法を見いだす。
 名取、釜石両市には、関係者が研究情報の共有を図ったり、情報発信したりする拠点「開放型研究室」を設置。宮城県農業・園芸総合研究所と岩手県水産技術センターの一室が充てられる。
 同事業は予算4億3000万円で3月末まで。4月以降は2012年度予算の「食料生産地域再生のための先端技術展開事業」(予算7億6400万円)に衣替えする。
 新たに土地利用型営農技術や農産物加工技術など九つを実証項目に加える予定で、農水省は実証に当たる研究機関や民間企業を公募している。22日午後1時から、仙台市青葉区の東北農政局で説明会が開かれる。

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