山城の全体構造判明 空堀など出土 南三陸・新井田館跡

宮城県南三陸町教委は21日、15世紀に築かれた山城とみられる同町志津川の新井田館(にいだたて)跡で進めていた発掘調査の結果を発表した。6カ所の平場の周囲から複数の空堀と土塁のほか、建物や柵があったことを示す柱跡が出土した。
 全体は葛西氏家臣の本吉氏が本拠とした朝日館(志津川城)の出城だった可能性があるとされている。町教委は「調査で全体の構造が判明した」と説明した。
 山城は南北約150メートル、東西約100メートルの範囲に広がる。平場の周囲などに六つの空堀と八つの土塁が巡らされていた。空堀は最大で幅8メートル、深さ3メートル。土塁は最大で幅18メートル、高さ3メートルだった。
 柱跡はそれぞれの平場の岩盤を掘り込んだ状態で見つかった。このほか山城が2度にわたって改修されていたことも分かった。陶器や古銭などの生活遺物は少なく、井戸跡は出土しなかった。
 新井田館跡は志津川湾を望む丘陵に築かれ、最高地点は海抜67メートル。文献史料が少なく、詳細ははっきりしていなかった。遺跡は東日本大震災の津波復興拠点整備事業で消滅するため、町教委がことし3月から調査していた。
 町教委は23日午前10時と午後1時の2回、公開の現地説明会を開く。連絡先は生涯学習課0226(46)2639。

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