毎月1回、日曜日に日帰りで東日本大震災のボランティア活動に赴くバスがある。「日曜奉仕団」。山形県と陸前高田市を8時間かけて往復し、行方不明者の手掛かりを探すなどしている。「求められる限り続けたい」。ひた向きな取り組みはことし映画化される。
「ここが津波の最終到達地点です」「町一つなくなったんです」
バスが岩手県陸前高田市に入ると、代表の早坂信一さん(44)=山形県寒河江市=が参加者に説明する。この日の現場は防潮堤建設予定地。休憩を挟んで約5時間、海水を含んだ重い砂をふるいにかける作業を続けた。
山形県からのボランティアバスは震災半年後には激減。「せっかく根付いた助け合いの文化を途絶えさせたくない」と奉仕団の活動が始まった。
当初は効率を重視し、山形県から比較的行きやすい場所を選んでいたという。早坂さんはある時、陸前高田市で被災者から「皆さんを見ると、忘れないでいてくれる人がいるって思えて頑張れる」と話し掛けられ、考えが変わった。
「大事なのは、私たちがここに来ることだ」。交通の便が良くないこともあり、ボランティアが不足していた陸前高田市に通うことを決めた。
これまで37回の運行で、延べ900人近いボランティアが参加。がれき撤去や泥だし作業などをしてきた。
天童市から毎回のように参加する女性(49)は「陸前高田市は両親の出身地だが、1人だったら来ていなかった。バスが陸前高田とのつながり、人とのつながりを思い出させてくれた」と感謝する。
日曜奉仕団の活動は地元で映画化される。監督は福岡インディペンデント映画祭で企画賞受賞の経験がある寒河江市の眼科医鈴木一作さん(58)で「早坂さんの懸命な姿を伝えたい」と言う。
バスの参加者は定員に満たないこともあるが、毎回、ボランティアは初めてという人もいて、早坂さんの励みになっている。「私たちが行くことで力になる人がいる」と活動を続ける決意だ。