山形サクランボ国際市場へ参入 県が始動

山形県は新年度、生産量日本一を誇るサクランボのブランド強化のため、新たに国際市場への参入を目指す「世界一プロジェクト」を始動させる。世界で主流の大玉品種の開発、国際宅配制度の構築を進める一方、産地拡大を見据えた機械収穫の研究に乗り出す。

新品種の開発は「世界に類を見ない超大玉」と銘打ち「4L」サイズの果実を目指す。遺伝分析や掛け合わせる親種の選定、優良系統の選抜などに取り組み、数年間かけて実現する。
世界のサクランボ生産量はトルコ、米国、イランが上位。いずれも3L級の大玉が主流を占める。山形産は粒の大きい「紅秀峰」でも2L級。品質の高さを維持したまま果実を肥大化させることが、国際市場で競争できる必須条件となる。
世界で山形産の認知度を上げるため、海外向けにモデル販売する農業者の活動を支援する。外国人観光客がサクランボを気軽に持ち帰れるよう、国際宅配に適したパッケージや小口輸出システムなども検討する。
販路が世界に広がれば産地拡大は不可欠だが、県内の生産現場は高齢化と労働力不足が深刻。県によると、生産農家の約14%が収穫期に人員が確保できず、果実を廃棄しているという。
世界一プロジェクトは、将来の大規模経営を見据え「サクランボ収穫ロボット」の開発に着手する。基盤技術だけでなく、実がなる位置を一定にするなど、ロボット収穫を可能にする樹形の研究にも取り組む。
県は全農県本部や山形大、試験研究機関、有識者らでプロジェクト推進会議を発足させる。県園芸農業推進課は「市場開拓へ世界に打って出たい。品質には自信があり、世界に通用する山形産サクランボとして、ブランド価値を高めたい」と話した。

タイトルとURLをコピーしました