山形・鶴岡の荷物配送を郵便局で受け渡し 料金は1/4 全国初のサービス開始

 日本郵便は21日、郵便局の集配網と郵便収集車の空きスペースを生かし、顧客が指定した郵便局間で荷物を運ぶ新サービスを全国で初めて山形県鶴岡市内で始めた。「ぽすちょこ便」と名付け、荷物は差出人が起点の郵便局へ持ち込み、受取人が終点の郵便局で受け取る。その分、送料は宅配のゆうパックの4分の1程度に抑えた。同社は「地域内の流通を補完するモデルとして広げたい」と期待する。

収集車の空きスペースを活用

 新サービスの流れはイラストの通り。

 差出人は専用のウェブサイトで配送コースと日時を予約し、当日は荷物を持ち込んで送料を支払う。荷物は郵便ケース(横47センチ、奥行き29センチ、高さ22・5センチ)に入れ、他の郵便物と一緒に収集車で運搬。受取人は郵便局まで取りに行く。送料は290円。午前中に発送すれば当日中に届く。冷蔵・冷凍品は扱わない。

 鶴岡市は市域が東北で最も広く、郵便局は市内に41カ所あり、うち15カ所が新サービスに参加する。市中心部にある集配(拠点)局の鶴岡郵便局との間を収集車が1日2、3往復しており、その空きスペースを活用する。当面は事前に登録した農家が、青果物を飲食店に送る場合に利用を限るが、今後、他地域や一般への利用拡大を検討する。 初日は中心部から約10キロ離れた櫛引地区の山添郵便局に、近くの農家斎藤司さん(60)がリンゴや梨の規格外品を持ち込んだ。市内の菓子店など4軒に加工用として送るという。斎藤さんは「相手に最寄りの郵便局まで取りに来てもらうことになるが、1軒ずつ回って届けることを考えたら、だいぶ助かる」と喜んだ。

 櫛引地区は果樹栽培が盛んで、農家は市内に多くの販路を持つ。地産地消の取り組みを通じて一定の需要が見込まれるため、今回の新サービスが開発された。

 日本郵便ロジスティクス事業部の御手洗正夫部長は記者会見で「全国津々浦々の郵便局と集配網が強み。有効活用により地域限定で低料金のサービスが提供できる。『買い物難民』の支援など地方の課題解決にも貢献したい」と話した。

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