山形国際ドキュメンタリー映画祭開幕 13日まで

第12回山形国際ドキュメンタリー映画祭が山形市内で6日開幕した。13日までの期間中、国内外の約240作品が上映される。東日本大震災をテーマにした特別プログラムも組まれ、2日目の7日には、多くの子どもたちが津波の犠牲になった石巻市大川小を中心に被災後の人々の姿を描いた「大津波のあとに」が上映される。映画を通して何を訴えようとしたのか。同作品の森元修一監督(41)に6日、山形市内で話を聞いた。(聞き手は山形総局・長門紀穂子)
<石巻・大川小描いた「大津波のあとに」森元修一監督に聞く>
 ―「大津波のあとに」で何を描こうとしたのですか。
 「泥まみれのランドセルが高台に並べられた光景や、遺体が見つからない娘を捜そうと大川小に通う父親、卒業証書を捜す母親の姿など、自分が目にしたものをそのままに映したかった」
 ―撮影して感じたことは。
 「生後間もない息子を津波にさらわれた父親ら、家族を失った人の強さ、悲しみは強く印象に残っている。『自分よりつらい思いをしている人がいる』という声も多く聞いた。被害にあっても他者を思いやる東北の人の美質を感じた」
 ―最初に被災地に入ったのはいつですか。
 「震災の2週間後。仙台市の荒浜地区を訪ねた。イラク戦争で何度も戦地を歩いたが、空襲にでも遭ったかのような荒浜地区の被害は想像を超え、イラクを訪ねたとき以上にショックだった。特にテーマもないまま、それ以来、とにかくカメラを回し続けた」
 ―被災地にレンズを向けた理由は。
 「震災時は東京の自宅にいた。津波が街をのみ込むテレビの映像に衝撃を受け、石巻に知人がいたこともあり、とにかく被災地に行かなくてはという思いだった。当初は悲しみにくれる被災者にカメラを向けることができなかった。話を聞くうち、誰かに伝えたいという気持ちが強まっていった」
 ―作品から何を感じてほしいと思いますか。
 「被災者の姿は(われわれへの)問い掛けそのもの。『人はどう生きるべきか』を感じ取ってほしい。東北での上映は山形が初めて。いつか石巻で上映したい」
[大津波のあとに] 3月下旬からの10日間、仙台市若林区の荒浜地区や東松島市野蒜地区、石巻市大川小などの被災地で、森元修一監督が1人で撮影したドキュメンタリー映画。被災地の風景と被災者の肉声を中心に収めた。上映時間は74分。7日午後4時から山形市のフォーラム山形で上映される。

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