山形県、酒田市が風力発電6基建設 15年度運転開始

山形県と酒田市は20日、同市沿岸部の十里塚地区に、出力計1万3800キロワットの風力発電施設を建設すると発表した。2015年度にも自治体直営の発電事業を始め、7月に始まった固定価格買い取り制度に基づき東北電力に売電する考え。
 蓄電池を併設する出力変動緩和型の発電用風車(出力2300キロワット)を、県と酒田市が3基ずつ計6基建設する。環境影響評価(アセスメント)などを経て、14年度にも着工の予定。総事業費は約54億円で、県と酒田市が約27億円ずつを支出する。県は事業開始から13年で採算が取れると見込んでいる。
 東北電は6月、自治体が関わる風力発電を優先して電力を買い取る自治体風力制度を撤回し、買い取りを申請順に改めた。東北電の買い取り枠は残り15万7400キロワット(6月29日現在)で、県は「今週中に申し込めば間に合う」としている。
 同地区は風力発電の適地だが、大部分が県立自然公園に指定されている。2000年と10年の2回、民間による風力発電の計画が持ち上がった際には、クロマツ林などの景観を損なうとして県が認可しなかった経緯がある。
 福島第1原発事故を受け、県は3月に県エネルギー戦略を策定。6月には自然公園でも風力発電の建設計画に柔軟に対応できるよう、認可に関する指針を改正した。
 吉村美栄子知事と阿部寿一酒田市長は20日、県庁で記者会見した。吉村知事は「県内における大規模事業の展開の第一歩」と意気込みを語った。阿部市長は、景観への影響に関して「原発事故が価値観の大きな転換をもたらした」と説明した。
 県内にある出力100キロワット以上の風車は現在、13カ所計33基。自治体直営の発電事業はすでに庄内町でも行われている。遊佐町では民間による出力計6900キロワットの風力発電の計画が進められている。

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