山形芋煮、全国うなった キッチンカー選手権で「山形・さとう農園」2連覇

山形市でサトイモの栽培や販売などを行う「さといもや さとう農園」が、11~14日に東京で開かれたキッチンカーグルメ選手権でグランプリの金賞を獲得した。昨年に続く2連覇で、自社栽培の食材を使った郷土料理の芋煮が高く評価された。佐藤卓弥社長(50)は「全国に山形独自の食文化を広めたい」と意気込む。

 自社栽培のサトイモ高評価

 選手権は国内最大規模のキッチンカーのイベントで、今年は全国から101台がエントリー。4日間で過去最多の延べ約2万5000人が来場した。

 さとう農園は「いも煮ジャパン」の屋号で出店。山形市内の自社農園約6ヘクタールで農薬や化学肥料を使わず育てたサトイモや山形牛などを使い、1杯800円で販売。来場者による投票で最も高い支持を得た。

 佐藤社長は「山形のソウルフードのおいしさが2年続けて評価されてうれしい。箸で切れるほど柔らかく、ぬめりのあるサトイモの食感を楽しんでいただいたと思う」と喜ぶ。

 農園は1900(明治33)年創業。サトイモ専業として年間700~800トンを取り扱う。4代目の佐藤社長は昨年、中古の2トントラックを改装したキッチンカーで芋煮の出張販売を開始。道の駅やまがた蔵王(山形市)の屋外施設「芋煮広場」に常時出店し、全国のイベントや商業施設などにも出向く。

 積極的な事業展開は危機感から。農林水産省の統計によると、全国のサトイモの作付面積は2019年の1万1100ヘクタールから昨年は9600ヘクタールに減少。収穫量も14万トンから12万7000トンまで下がった。

 「サトイモ栽培は足腰を使う重労働で、高齢化により生産者が減っている。芋煮文化を国内外に伝えるモデルケースとして示し、若い生産者を増やしたい」と佐藤社長。選手権には来年以降もエントリーする予定で「連覇を重ねて発信力を高め、『イモニ』を世界の共通語にしたい」と語る。

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