岐阜和傘の写真、中国製だった 国の伝統的工芸品指定受け市広報掲載

岐阜市の広報誌「広報ぎふ」6月1日号で、表紙に掲載された「岐阜和傘」の写真が中国製の傘だったことが判明した。市は「和傘の製造地の検証をしないまま掲載し、誤解を招いた。配慮が足りなかった」と釈明した。

 岐阜和傘は今年3月、国(経産省)の伝統的工芸品に指定された。「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」に基づき、岐阜和傘協会が申請したもので、岐阜、瑞穂両市と北方、岐南両町(いずれも岐阜県)が「製造される地域」として認定された。

 広報誌は指定を受け、歴史や制作過程を紹介。表紙には「伝統的工芸品に指定 『岐阜和傘』」の見出しとともに、青、紫、紅白色の3本の傘の写真を掲載した。

 市民から6日に疑義を指摘され調査したところ、3本は岐阜市内の和傘製造業者が岐阜県内産の材料を用いて中国で製造した傘だったと判明した。いずれも市商工課が所有していたもので、入手の時期や経緯を把握しないまま、広報誌に使用したという。

 市や岐阜和傘協会によると、「岐阜和傘」の明文化された定義はない。このため中国製の傘を含めて「岐阜和傘」を名乗り販売することを事実上、認めていた。市商工課は「これまでの『岐阜和傘』の考え方からすれば、広報誌は虚偽や誤掲載には当たらない」とした上で、「今後、『伝統的工芸品』を名乗って販売するものは岐阜市と周辺自治体で作られたものに限る。広報誌は誤解を招く写真を使い、配慮に欠けた」と釈明した。

 同協会の平野明宏代表理事は「市は、伝統的工芸品としての岐阜和傘かどうか確認して写真を使うべきだった」と話した。経産省生活製品課は「現時点で、認定の取り消しは考えていない」としている。【井上知大】

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