岩手、宮城、福島の沿岸部 人口5万人減少 東日本大震災後

 東日本大震災で津波被害の大きかった岩手、宮城、福島3県の沿岸部にある市町村で、震災後に人口が計約5万人減少したことが9月8日、分かった。共同通信が住民基本台帳に登録された人口を沿岸部の37市町村に取材したもので、住民票を移さずに転居した人も多く、実際の人口減少はさらに進んでいるとみられる。
 被災地では雇用情勢の悪化が続いているほか、住宅再建のめどが立たない被災者も多く、復興の遅れがさらなる人口流出につながる恐れもある。
 各市町村の震災前(2月末~3月11日)と震災後(7月末~9月初め)の人口数を比較した。沿岸部の自治体では人口流出のほか津波による犠牲者も多い。
 減少数が最も多かったのは宮城県石巻市で約9000人。減少率が最も大きかったのは、岩手県大槌町(おおつちちょう)で13%以上だった。
 石巻市の担当者は「津波の浸水域は事業所の9割近く、世帯で7割以上。国には早く復興の制度を示してほしい」と訴える。
 福島第1原発事故のため一部が立ち入り禁止の警戒区域となっている福島県南相馬市の人口は、震災前より約4500人減って約6万7000人。しかし、南相馬市が9月5日現在で確認したところ、市内で生活する住民は4万人ほどだったという。住民票は動かさずに避難した人が多いとみられる。
 一方、仙台市は沿岸部が津波被害を受けたが、ほかの被災地からの人口流入もあり、震災前より2950人増加。沿岸部でも被害が少なかった宮城県利府町(りふちょう)も約400人増えた。利府町は「永住を希望される方もおり、宅地開発の促進策についても検討している」としている。

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