岩手の人口減、低出生率と宮城転出が影響 市町村ごとの実情に応じた支援推進 岩手県対策本部が会合

 人口減問題に取り組む岩手県の対策本部会議は14日、本年度の初会合を県庁で開いた。女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」の低さや、宮城県や東京都への転出が相次ぐ実態を確認。女性と若者の住みやすい地域づくりのほか、自治体向けの「伴走型支援」を進めることも申し合わせた。

 計約30人が参加。県の2023年の合計特殊出生率が過去最低の1・16(前年比0・05ポイント減)となり、全国39位にとどまったことなどを担当者が説明した。

 20代の転出先に関する報告もあった。最も多いのは宮城県の23・1%で、東京都、神奈川県が続いた。首都圏に40・6%が流出していることも明らかになった。

 伴走型支援では、県が各市町村によって異なる少子化要因を多角的に分析し、実情に応じてサポートする。1990年代半ば以降に生まれた「Z世代」が時間対効果(タイムパフォーマンス)や自由な働き方を重視する傾向を踏まえ「新たな価値観を受け入れる地域づくり」を推進することも確認した。

 意見交換で、オブザーバーの大学教諭はZ世代の分析に関し「『今ごろになって議論するのか』との思いもある。学生を見ても当てはまる人、そうでない人もいる」と指摘。「外を向く若者を阻止するのは困難。誤ったメッセージにならないよう施策を検討してほしい」と意見した。

 本部長の達増拓也知事は「外に出る、残る、戻る、外から来るといったさまざまな選択肢がある中、どれを選んでも岩手に住んだ人が幸福になれる道筋が必要。多様な人生戦略があると認識した上で、若者に活用してもらえる水準を目指す」と述べた。

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