総務省が25日発表した2020年国勢調査の速報値で、東日本大震災の被害が大きかった岩手県沿岸12市町村の人口減少率は前回15年調査に比べて9・6%となり、全国(0・7%)や東北(4・1%)を大幅に上回った。福島県沿岸周辺15市町村は2・9%減、宮城県沿岸15市町は0・1%増で、岩手の減少が際立っている。
震災と東京電力福島第1原発事故で被害を受けた3県42市町村の県別人口推移は表の通り。岩手は全12市町村で減り、減少率は前回(8・3%)を上回った。沿岸部を中心に復興事業が終わりつつあり、建設作業員らの転出が影響したとみられる。
福島15市町村は避難指示解除に伴い住民の帰還が進み、減少率は前回(13・3%)から鈍化した。宮城は仙台、名取両市への人口流入が続き、15市町合計はプラスに転じた。仙台市を除けば2・2%減。
減少率が拡大したのは釜石市12・8%や宮古市11・1%、福島県川俣町15・7%など12市町村に上る。
一方で12市町村は減少率が縮小し、ともに前回20%台の岩手県大槌町が6・3%、宮城県南三陸町は1・1%だった。陸前高田市は7・5%、石巻市は4・7%。岩沼、いわき、相馬3市と宮城県利府町は増加から減少に転じた。
人口が増えたのは13市町村。仙台市と名取市の増加率は1・4%、2・7%とやや鈍化。宮城県女川町は前回37・0%減から1・5%増に転じた。
福島県では住民帰還により南相馬、広野、楢葉、川内、葛尾、飯舘6市町村で減少から増加に転じた。富岡、大熊、浪江3町の人口ゼロは解消され、居住者がいないのは全町避難が続く双葉町だけとなった。