岩手県は米Google(グーグル)が提供中の位置情報を利用したスマートフォン(スマホ)向けゲーム「Ingress(イングレス)」を、観光振興や地域活性化に活用する試みを始める、と2014年9月24日に発表した。
9月25日に広報や観光、復興推進などの担当者10人を集めた研究会を県庁内に発足、初会合を開く。ゲームのプレーヤーを狙った誘致イベントの開催や情報発信など活用方法を検討、2015年以降の実施を目指す。自治体がIngressの活用に動き出すのは全国で初めて。
25日に発足するのは「岩手県庁Ingress活用研究会」。IngressはGoogleが2013年11月から提供している、スマホの位置情報機能を活用するゲーム。緑と青の2チームに分かれ、実在する場所に紐付けられた「ポータル」と呼ぶ拠点を奪い合う。
2014年7月にiOS版が公開されて以降、iPhoneの普及率が高い国内でもプレーヤーが増えている。Googleによると、全世界で既に500万ダウンロードを超えており、国内のプレーヤー数は世界で3位以内に入る規模という。
Ingressのポータルは神社や仏閣、公共施設、街角のユニークな建造物などに紐付けられており、スマホのアプリを通じて操作する。このためプレーヤーはスマホを持って実際に現地に出向く必要がある点が、従来のスマホゲームと異なる。
また、プレーヤーがゲーム内のチャット機能などを使って連絡を取り合い、集団で行動することも珍しくない。こうした特性を利用すれば、プレーヤーを地域の名所や被災地に呼び寄せるイベントなどの開催を通じて地域活性化や情報発信が可能になると県は判断した。
研究会は2014年内に3回程度の会合を開き、Ingressの具体的な活用手法や課題を検討する。被災地の特定地域に臨時のポータルを多数設置してプ レーヤーに楽しんでもらうイベントの開催や、三陸ジオパーク、宮沢賢治、遠野物語の関連など、岩手県ならではのポータルを巡るツアーの開催といったアイデ アが既に出ているという。
(日経NETWORK 山田剛良)