新型コロナウイルスへの感染の有無を迅速に調べられる遺伝子検出試薬の開発を始めたと、島津製作所(本社・京都市中京区)が4日発表した。3月中にも製品化し、月に数万件の検査分のキットを供給する。将来的には月10万件分程度を目指すという。
現在のPCR(遺伝子増幅)法によるウイルス検出では、鼻や喉から採取した検体からウイルスのリボ核酸(RNA)を精製するのに約30分かかるが、同社が独自技術で製品化したノロウイルス検便検査用試薬を応用すれば5分程度に短縮できる。最短でも1時間半から2時間程度かかる判定時間を1時間程度に短くできるという。
国内の医療機関などへの供給を想定しており、100回程度使用できるキットの価格は十数万円になる見込み。記者会見した同社分析計測事業部の四方(しかた)正光・遺伝子解析グループ長は「各方面から試薬開発の要望があり、技術を持っている当社として期待に応えたい」と話した。【矢倉健次】