2020年度のタレントパワーランキング音楽編は1位が嵐で、9年連続トップを続けている。2位はサザンオールスターズの桑田佳祐、3位は米津玄師、4位はサザンオールスターズ。4位までは昨年と同じ顔ぶれだった。昨年から急上昇したトップはLiSAで、あいみょんが続く。 11位~30位の表はこちら
日経エンタテインメント!では、08年から年1回「タレントパワーランキング」を発表している。株式会社アーキテクトが3カ月に1度実施している、タレントの「認知度(顔と名前を知っている)」と「関心度(見たい・聴きたい・知りたい)」の調査を基に、2つのデータを掛け合わせて「タレントパワースコア」を算出、ランキング化したものだ(調査の詳細は総合編の「https://style.nikkei.com/article/DGXMZO60640820S0A620C2000000タレントパワー サンドウィッチマンが堂々の2連覇」をご覧ください)。 今年のタレントパワーランキング音楽編は、2010年代に見られたきゃりーぱみゅぱみゅ、星野源といった、幅広い年代から人気を集める特大級のニューカマーは現れず、全体的に安定した結果となった。 1位はこれで9年連続首位となる嵐。特に全女性層において唯一50ポイントを超える人気となった。昨年11月に公式YouTubeチャンネルを開設したり、音楽配信も開始するなど、より幅広いファンに訴求する試みが功を奏している。 2位は、4位にバンドとしてもランクインしているサザンオールスターズの桑田佳祐。今年は1月に民放114局の共同企画「一緒にやろう」応援ソングの公開や、2月にシングル『悲しきプロボウラー』をリリースするなど、積極的な活動が目立つ。 昨年122位から4位に大きくジャンプアップした米津玄師は、今年3位に。『ノーサイド・ゲーム』の主題歌で、ラグビーW杯でも話題となった『馬と鹿』が、CDセールスとダウンロード合わせて150万を超える大ヒット。提供した楽曲でも、『パプリカ』(18年)がロングセラーとなり、Foorinは『NHK紅白歌合戦』に初出場。その『紅白』では、嵐が提供曲『カイト』を初披露するなど話題が尽きない。 5位の福山雅治から11位のMr.Childrenまでは、2ポイントの間に男性アーティストが僅差で並ぶ。いずれも長い期間にわたって高い人気を保っているアーティストだ。例えばジャニーズ勢ではここ数年、CDセールスにおいてKing & Prince、SixTONES、Snow Manなどの若手がメガヒットを飛ばしている。しかし、広い認知度と関心度を併せ持つ「タレントパワー」では、『東京オリンピック』関連イベントでアンバサダーを務めるTOKIO(6位)や、20年以上ドーム公演を続けているKinKi Kids(8位)が上位となった。 19年度の春と秋に、それぞれNHK朝の連続テレビ小説の主題歌を担当したアーティストも上昇。『優しいあの子』を手掛けたスピッツは11ランクアップの27位、『フレア』を歌うSuperflyは13ランクアップの30位となった。さらに、木村拓哉が主演を務めた『グランメゾン東京』の主題歌を担当した山下達郎も順位を11上げて19位に。幅広い世代から支持を集める上で、安定した人気を持つドラマ枠の影響力は大きい。 1位から11位まで、すべてが男性アーティストのなかで(サザンオールスターズの原由子を除く)、女性最高位は12位の松任谷由実。ちなみに、20年2月は調査対象外であるが、19年11月調査では宇多田ヒカルが33.8ポイント、中島みゆきが32.5ポイントと7位~9位相当のスコアとなっている。 なお、今回初めて調査対象となったOfficial髭男dismは23.2ポイントで音楽部門で47位、King Gnuは16.8ポイントで93位に入っている。 ■『鬼滅の刃』の主題歌を歌ったLiSAが急上昇 昨年調査時と比較した「急上昇」では、1位LiSA、2位あいみょんと女性ソロアーティストが並んだ。LiSAはアニメ『鬼滅の刃』の主題歌となった『紅蓮華』が話題となり、『紅白』に初出場。さらに音楽配信のヒットが加速、既に80万ダウンロードを超え、ストリーミングは6500万回以上の再生数となっている。 あいみょんは、18年発表の『マリーゴールド』が音楽配信やカラオケでロングヒットし、ストリーミングの再生数は2億回を突破。アルバムでも昨年2月リリースの『瞬間的シックスセンス』がセールスとダウンロード合わせて25万超えのロングセラーとなっている。24.8ポイントというスコアは音楽部門の39位だが、10代女性では4位、20代女性では12位と、同性の若者から支持が高い。 また、トップ20までを見ると、女子アイドルが目立つなか、バンド勢も6組がランクイン。MAN WITH A MISSION(4位)、Sumika(5位)、SHISHAMO(12位)、Mrs.GREEN APPLE(14位)といった、結成8年~10年クラスの音楽配信で人気のバンドが並んだ。 (ライター 臼井孝) [日経エンタテインメント! 2020年7月号の記事を再構成]