ヘイトスピーチを禁止し、全国で初めて刑事罰で対処することを盛り込んだ川崎市の条例が12日、定例市議会本会議で可決、成立した。罰則部分は来年7月に施行され、外国にルーツを持つ市民らに対して差別的言動を繰り返した場合、最高50万円の罰金を科す。
川崎市のヘイトスピーチのデモ。市民らが団体を取り囲み、一時騒然となった
差別のない人権尊重のまちづくり条例は罰則対象の差別的行為について、市内の公共の場所で、拡声機を使ったり、プラカードを掲げたりするなどと規定。市長は表現の自由に配慮し、審査会に意見を聴きながら、ヘイト行為をやめるように「勧告」「命令」してもなお繰り返した場合に刑事告発する。検察が起訴し、裁判で有罪になると罰金が科せられる。
川崎市では在日コリアンを標的にしたヘイトスピーチが繰り返され、2016年に国の対策法ができるきっかけになった。ただ、法律は罰則は設けず、「不当な差別的言動は許されない」と基本的な考え方を示しただけだった。
インターネット上のヘイト行為も深刻だが、今回の条例では、認定の難しさなどから刑事罰の対象になっていない。