工場生まれのLED野菜 不足の葉物など人気

沖縄最大の百貨店「リウボウ」にある生鮮食品売り場の一角が、顧客から強い支持を集めている。販売されているのは春菊やバジル、サンチュなどの野菜。週に2~3回空輸され、1日で完売するケースも珍しくない。生産者は、電子応用機器の開発なども手がけるキーストーンテクノロジー。生産地は、横浜市中区の本社に設置されている植物工場だ。
 沖縄地方は気候の関係で5~11月ごろ、葉を食用とする葉物野菜が不作となるため、本州などから調達する。宮城、岩手、福島との取引も多いが、東日本大震災の関係で被害を受けたため少なくなり、全般的に不足しているのが現状だ。
 キーストーンテクノロジーの工場では、LED(発光ダイオード)によって野菜を栽培。光合成に不可欠な赤色、栄養素を作り出す青色、そして赤色と青色をより有効なものとする役割を果たす緑色を、それぞれ独立して制御するのが特徴だ。効率の向上で多品種少量生産が可能になり、5坪(約16・5平方メートル)の広さで1カ月当たり約5千株の葉物野菜を収穫できる。農地なら300坪分に当たるという。
 作った野菜は「横浜・馬車道 ハイカラ野菜」というブランド名が付けられ、地元で販売されているほか、近隣のレストランなどでも取り扱われている。完全無農薬栽培であることもあって人気の的で、評判を聞きつけたリウボウが震災後に、取り扱いを始めた。
 キーストーンテクノロジーは、「アグリ王」というブランドでLED栽培ユニットを外販しており、建築用鋼材の会社に大量納入することに成功した。原発事故を機に食の安全への関心が高まっているため、完全人工光型の植物工場の受注にも力を入れる。
 キーストーンテクノロジーの岡崎聖一社長は「ビルやマンションの空室を有効活用する上で、アグリ王は有効」と事業拡大に意欲を示す。また、自社で生産する分についてはギフト用通販も検討している。

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