青森県は15日、日本海溝・千島海溝を震源とする巨大地震を想定し、県内一斉に防災訓練を実施した。県が初めて設定した「あおもり防災ウイーク」(5~24日)の一環。地震発生時に身を守る「シェイクアウト訓練」のほか、沿岸部の14市町村では津波避難訓練があり、住民らが防災意識を高めた。
三沢市の訓練には住民ら約120人が参加。「日本海溝モデル」で青森県東方沖を震源に震度6強を観測する地震が発生し、大津波警報が発表されたと想定した。
三沢市三中では、宮下宗一郎知事が県民対話集会を開催中に大地震が発生したとして、緊急地震速報が流れると生徒21人が約1分間、机の下に身をかがめて安全を確保した。
市の津波ハザードマップによると、海抜9メートルの同校付近の織笠(おりかさ)地区には、高さ10メートルの津波第1波が約30分後、高さ11・8メートルの最大波は約2時間後に到達する。
生徒らは安否を確認した後、地区の指定緊急避難場所の「道の駅みさわ」まで約3・6キロを徒歩で避難。自主防災会などと連携し、テントや段ボールベッド、簡易トイレといった非常時の設営訓練もした。
三中生徒会長の3年生、田嶋彩華さん(15)は「東日本大震災の発生時は仙台市に住んでいて、親から当時の苦労を聞いた。被害を少なくし、誰も取り残さない防災を意識しながら今後も訓練する」と話した。
宮下知事は「防災は自助、共助、公助が大切。あす起こるかもしれない災害への備えを万全にしてほしい」と述べた。
「防災ウイーク」では期間中、防災意識を高めるキャンペーンを展開。各自治体が備蓄物資や避難ルートの確認などを呼びかける。
総務省によると、青森県の自主防災組織の活動カバー率は55・4%(昨年4月時点)。全国比で約30ポイント低く、東北でワーストになっている。