宮城県気仙沼市の海岸で、約6千年間に6回の巨大津波が押し寄せたとみられる痕跡を北海道大の平川一臣特任教授(自然地理学)らが発見した。三陸地方に平均約1千年間隔で巨大津波が襲来していた可能性を示すもので、国が進めている地震・津波想定の見直しに影響を与えそうだ。
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記事本文の続き 東日本大震災の津波を調査中の4月下旬、大谷海岸(気仙沼市)付近の崖の地層で、津波で運ばれて堆積した砂や石の層を6層見つけた。崖は高さ約3メートルで、中小規模の津波が乗り越えたとは考えにくく、巨大津波の痕跡と断定した。
最下層の直上には約5400年前の十和田噴火とみられる火山灰があり、層の間隔や堆積物に含まれる土器片の様式などから、上から順に慶長三陸地震(1611年)、貞観(じょうがん)地震(869年)、約2千年前、約3千年前、約4千年前、5千~6千年前の津波の可能性が高いとみている。
東北地方の太平洋側で、縄文時代にさかのぼる過去6千年間の巨大津波の歴史が一度に分かる地層は初めてという。平川特任教授は「東日本大震災と同規模のマグニチュード(M)9級の地震による津波は、過去にもたくさん起きていたのではないか」と話す。
東日本大震災との類似性が指摘される貞観地震(M8・3)の津波堆積物は宮城県石巻市が北限とされ、三陸地方での報告はほとんどない。今回の堆積物の年代が確定すれば、貞観地震の規模はM9級に引き上げられる可能性がある。