市役所に勝手に住み着いた大阪「池田市長」 家庭用サウナも持ち込んだ証拠動画

住む家がない!?

 大阪府池田市は、阪急電鉄の梅田駅まで約20分と、府中心部に絶好のアクセスを誇る。高級住宅街としても知られ、市観光協会の公式サイトは、日清食品の創業者・安藤百福(1910~2007)や、阪急東宝グループの創業者・小林一三(1973~1957)との深い縁を紹介している。

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【動画】池田市役所の内部を撮影した動画

 ベッドや冷蔵庫、そして、「サトウのごはん」が置かれた部屋、電子レンジが置かれた部屋、更に家庭用サウナが表示されたが、実はこれ、池田市長が役所の一部を“自宅”として使っている証拠動画なのだ。

 現在の市長は冨田裕樹氏(44)。公式サイトの《学歴》には、関西大倉高校と立命館大学でアメフトの選手として活躍したことが紹介されている。

冨田裕樹池田市長(公式サイトより)

 卒業後は広告代理店の経営などに携わり、維新政治塾の第1期生として参加。日本維新の会に所属する足立康史衆議院議員(55)の公設第一秘書を経て、2015年、池田市議選に初当選した。市議時代には、京都大学大学院に入学、修了している。

 19年4月に池田市長選で、大阪維新の会の公認で立候補。対立候補が前市長の長男だったことから、「世襲批判」も追い風となって当選を果たした。

疑惑の「5時登庁」

 この冨田市長が市役所で“寝泊まり”していた。職住一体と言えば聞こえはいいが、実態は“不法占拠”と批判されても仕方ない状況だったという。市役所関係者が明かす。

市庁舎に設置された家庭用サウナ機

「動画に収められたのは、市役所の3階にある秘書課のトイレや元更衣室に、冨田市長の私物が持ち込まれ、居住空間となっていた実態です。

 実を言うと、市長には自宅がありません。住民票は自身の事務所に置き、食事は市役所3階の部屋に置いた電子レンジなどを使用。また別の部屋に設置した家庭用サウナに入浴し、ベッドで寝るという生活を送っていました」

 冨田市長の公式Twitterを見ると、不自然な記述がある。事務所スタッフが市長のスケジュールを投稿しているのだが、頻繁に「05時10分 登庁」という記述があるのだ。

 台風の接近などといった非常事態なら、午前5時登庁も理解できる。だが、Twitterの投稿をチェックすると、たびたび「5時登庁」と投稿されているのだ。おそらく午前5時は「登庁」ではなく、「起床」した時間ではないか。

 それにしても、自宅のない市長など前代未聞だ。お笑いコンビ・麒麟の田村裕(41)の「ホームレス中学生」(現在は幻冬舎よしもと文庫)は大ベストセラーとなったが、それに倣えば「ホームレス市長」ということになる。

銭湯通いの時期も

 池田市の公式サイトによると、市長の給料は月98万円。市長選で給料3割カットを公約とし、実行した。計算すると約68万6000円という数字が弾き出される。

 阪急電鉄は沿線イメージが良く、池田市は高級住宅街の側面を持つ。とはいえ不動産業者のサイトで検索すれば、ワンルームなら家賃月4万や5万という物件はいくらでもある。月収60万円を超えているのだから、余裕で借りられるだろう。

 一体、冨田市長に何が起きたのか、前出の関係者が経緯を明かす。

「もともと冨田市長は、事務所の前に建つマンションに奥さんと暮らしていました。奥さんは出産のため大阪府内の実家に帰られたのですが、その後は池田市に戻ることはなかったのです。このため市長はマンションを解約、自宅を失いました」

 市長は事務所で一人暮らしをスタートしたが、ここには浴室がなかった。そのため銭湯に通っていたという。

「ところが池田市のトップが頻繁に銭湯へ通ったところ、いわゆる“顔バレ”をしてしまったようです。街の噂になることを恐れたのか、しばらくすると冨田市長は市役所3階にベッドや冷蔵庫、電子レンジなどの私物を持ち込み、寝泊まりするようになったのです」

横領罪に抵触?

 市役所には風呂がない。それを解決するため、冨田市長は最近、家庭用のサウナ機を入手、市役所の3階で汗をかき、風呂の代わりにしていたというのだ。

「市長が市役所で堂々と寝起きしていたわけですから、市の職員も大半は、その実態を知っています。

 もちろん『なぜ』という疑問は誰もが感じていて、『家賃の捻出にも困るほど、お金がないのだろうか』という声が上がっています。実際、支援者との間に金銭トラブルがあるという話も広まっていますからね」(同・関係者)

 市長が市役所で生活するのは、最高の“危機管理”──こんな擁護論が飛び出すかもしれないが、やはり法的には問題のある行動のようだ。

「朝食と夕食の調理で電子レンジを使うとします。普通の市長は自宅に置いていますから、電気代は自分で支払うでしょう。しかし冨田市長の持つ電子レンジの電気代は、市役所分に上乗せされています。

 また、本当に市役所で市民を生活させるのであれば、少なくとも一般通念上は家賃が発生してしかるべきです。ところが冨田市長は、全く家賃を払っていません」(同・関係者)

 いわば“小さな横領”といっても過言ではないわけだが、塵も積もれば山となるという諺もある。1年、2年ともなれば、その金額は馬鹿にならない。

様々な疑惑

「更に家庭用サウナですが、本体は市長が自腹で購入したという話と、支援者からの寄付という話が混在しています。なおかつ、設置費は市の予算が流用されたという疑惑も浮上しているのです」(同・関係者)

 問題は他にもある。市職員に対するパワハラがひどいという声、今年の夏休みは淡路島に行くとしながら、実は種子島に行っていたという疑惑などが囁かれているという。

「特に後者は問題です。市のトップが、嘘をついて遊びに行っていたことになります。当時は新型コロナで旅行の自粛が求められていました。

 何より、市長が夏休みを満喫していた間、池田市では高齢者施設で新型コロナのクラスター感染が発生したのです。

 利用者18人と職員9人が感染し、このうち2人が死亡する事態になりました。これだけの重大な事態が起きたにもかかわらず、市長はこの間、何をやっていたんでしょうか」

 こうした声に市長は何と答えるのか、市役所を通じて取材を申し込んだ。すると弁護士から文書で回答があった。

市長の反論

 まず、市役所で生活していることについて、以下のように反論した。

《電子レンジはお弁当等を温めるため、簡易ベッドと簡易サウナは、腰椎の後遺障害の症状緩和の為のもので、一時、置かせて頂いておりましたが、現在、撤去しております。なお、市庁舎で生活はしておりません》

(註:改行を省略した、回答は以下も含め、全て原文ママとした)

 Twitterの「登庁5時10分」にも《登頂時間になります》とし、家庭用サウナの公費流用の私的も《そのような事実はございません》と否定した。

 光熱費などの“小さな横領”を重ねているとの指摘にも、《市庁舎で生活をしている実態はございませんので、ご指摘は当たらないものと、思料しております》とした。

 パワハラの声も《そのような事実はございません》、種子島問題は《種子島へは視察の為に訪れたものです》と説明、新型コロナについては《移動の自粛が緩和されていた時期となります》と反論した。

 最後に池田市でクラスター感染が起きた際の所在地を確認した質問には、《墓参の為に帰省しておりました》と説明した。

関係者の反論

 通知書は「なお、仮に、名誉毀損等に該当する記事が掲載等されました場合には、法的措置を検討する所存でございます」との一文で締めくくられていた。

 実はデイリー新潮が市役所を通じて市長に質問状を送る前、他メディアも取材に動き、市長に説明を求めたことは把握していた。更に、取材を受けた市長は、ベッドなどを解体したとの情報が流れたことも聞き及んでいた。

 その際、市長が「市役所での生活」を否定した場合、どのような反論が可能か、前出の関係者へ事前に取材を行っていた。その回答をご紹介しよう。

「市長が奥さんと一緒に暮らしていた頃の公用車の運転記録と、マンションを解約した後の運転記録を突き合わせれば、おのずと真実が見えてくるはずです。

 ですが、それでも市長が『公用車ではなく原チャリで移動していたので記録には残らない』と反論することは可能でしょう。

 しかし、そこまで反論のための反論を重ねるつもりなら、『仮にも池田市のトップなのだから、自分が何をしてきたのか、胸に手を置いて反省しなさい』と言いたいですね」

週刊新潮WEB取材班

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