市道仙台城跡線の廃止を検討へ 大手門復元計画

郡和子仙台市長は1日、来年度に着手する仙台城跡(青葉区)の大手門復元に合わせ、市道仙台城跡線の廃止を検討する考えを明らかにした。2015年の市地下鉄東西線開業や都市計画道路の開通で、仙台城跡周辺の交通渋滞が緩和されており「十分可能ではないか」と語った。今後、地域住民や関係機関などの理解を得ながら実現を模索する。
 市教委によると、市道仙台城跡線では急カーブや狭い幅員、急勾配の箇所で、14~18年の5年間に79件の交通事故が発生している。史跡の石垣や土塁、天然記念物など貴重な文化財が損傷する恐れがあり、全長約1.4キロのうち、950メートル区間の廃止や通行規制を検討する。
 市教委は19年5~12月、市道の起終点と東西線国際センター駅前、青葉橋付近の計4カ所の交差点で交通量調査を実施。混雑度合いを示す「交差点需要率」、青信号の間に処理できる交通量を表す「交通容量比」などの指標を算出した。
 交差点需要率は0.9以上で渋滞発生だが、結果は0.4~0.7に収まった。交通容量比も1.0以上で渋滞発生だが、0.1~0.9と下回った。国際センター駅前交差点の右折レーンを改良すれば、数値はさらに下がるとみられる。
 市教委文化財課の担当者は「東北大生が川内、青葉山の両キャンパス間を東西線で移動するようになり、渋滞が緩和した面がある。新たな都市計画道路の利用も増え、以前に比べると混雑がない」と分析する。
 市が過去に実施した交通量予測では市道を通行止めにした場合、約8割の車が東北大青葉山キャンパスを通るルート、約2割が太白区向山地区を通るルートに分散することが分かった。交通量調査の結果と合わせ、市道を廃止しても影響は少ないとの見方を強める。
 郡市長は定例記者会見で大手門復元に関し「気持ちとしては、仙台藩祖伊達政宗の没後400年の節目を迎える36年度に復元を完了できればいい」と話した。

[仙台城跡の大手門復元]仙台市教委が新たに策定する整備基本計画(21~38年度)の中間案で、最終年度までの大手門復元を打ち出した。21年度に地形測量や絵図、文献などの基礎調査に着手。その後、脇櫓(やぐら)周辺を含む一帯の発掘調査を初めて実施し、31年度に復元整備の基本設計に入る。

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