希望退職を募る上場企業、2年連続で80社以上 商工リサーチ調べ

社員の削減に踏み切る企業が高止まりしている。東京商工リサーチによると、2021年に希望退職を募った国内の上場企業は80社以上になった。コロナ禍が直撃した20年は93社で、2年連続で80社以上となるのはリーマン・ショック後の09、10年以来だ。

 消費が十分に回復せず業績が悪化している企業もある。脱炭素といった経営環境の変化に対応するため、事業を見直すところもある。足元ではオミクロン株の感染が広がりつつあり、景気の先行きへの懸念は強い。企業は経営の効率化を進めていて、今年も人減らしの動きが続きそうだ。

 東京商工リサーチの昨年末までの集計では、21年に募ったのは少なくとも80社あった。募集者数(非公表の企業は応募者数)の合計は判明分だけで1万5千人を超えた。20年は1万8635人で、2年続けて1万5千人を超えるのは02、03年以来だ。非上場企業は集計の対象外で、募集を明らかにしていないところもあり、実際の数はもっと多い。1千人以上だったのは日本たばこ産業(JT)やホンダなど5社あり、大規模な事例もめだった。残りの3社はKNT―CTホールディングス、LIXIL、パナソニックだ。5社のなかには募集・応募者数を細かく公表していないところもある。

 業界別では、緊急事態宣言が最初に出された20年はアパレル・繊維の18社が最も多かった。21年も最多はアパレル・繊維の12社で、電気機器が9社、観光を含むサービスが7社だった。募集した企業の約6割は、直近の通期決算の純損益が赤字だった。

 一方で、黒字を確保している企業が募るケースもある。脱炭素の流れを受けて、石油化学などは事業を転換しようとしている。自動車関連では電気自動車へのシフトで経営環境が急速に変わる。人口減による市場縮小などもあり、合理化に取り組むところが多い。

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