年末年始の風物詩、帰省ラッシュ、Uターンラッシュがやってくる。昨今の不況下で、できるだけリーズナブルに、そして快適なものにしたい。こうした中、高速道路の「休日1千円」に対応した鉄道や高速バスのサービス多様化は加速し、利用者側の選択肢が広がっている。(織田淳嗣)
◆4日以降は安く
楽天トラベル(東京都品川区)によると、同社サイトを介した高速バスの12月28日~1月3日の予約人数は21日現在、前年同期比で34・4%増。昨年度の同期実績は前年比31・2%増で、利用は年々拡大している。
特にUターンラッシュを迎える1月2日の増加率は38・8%、3日も40・4%と特に好調だ。両日とも高速バス各社は高めの値段設定だが、1日ずらせば4日の上り便は値段が安くなる。3日の「高松→東京」便(最安値1万2800円)が、4日は最安値で1万1千円(いずれも21日時点)となるケースもある。
サービスも充実してきた。高速バス大手のウィラートラベル(大阪市北区)では今年、座席同士をパーテーションで仕切るタイプ(東京-大阪、片道9800円~)を含めた5種類の独自シートを開発。高級感のあるシートは既に予約が集まっているが、需要に応じて増便対応をする。
JRバス関東では、JR東日本のICカード「Suica(スイカ)」で決済ができるサービスを11月に導入。24~7日までは新宿-伊勢崎など5路線限定で中高生割引を実施し、割引率は13~26%だ。
マイカーでの帰省を考えている人も多い。国土交通省は「1千円高速」は休日の間にある24日と1月3日にも適用する。昨年は物流に配慮して年末の休日を除外し、代わりに年始の平日に繰り越した。
今回は渋滞緩和のため、こうした措置は行われないという。
◆年始帰り4割引き
鉄道各社でみてみると、JR東日本ではインターネットの申し込みサービス「えきねっと」経由に限定した割引サービス「お先にトクだ値」を用意。乗車券と特急券のセット料金で、東京-秋田は通常1万7150円(片道)が1万280円(同)と40%引きとなる。下り列車は元日から5日間使え、時期をずらした帰省に有効だ。
一方、JR西日本は28日~5日に始発駅を発車する列車について、管内の新幹線・特急・急行列車の利用で1万円以上のきっぷを対象に、無料できっぷを宅配するサービスを実施する。
■環境一変で子供の事故も
普段から子供の安全に気を使っていても、帰省先では子供を取り巻く環境が一変する。
緑園こどもクリニック(横浜市泉区)の山中龍宏院長によると、0~1歳の事故で、重傷度が高いものは風呂場で起こる。湯船の高さが50センチの風呂場に水をためていると、身長75センチの赤ちゃんはのぞき込んだ際に頭の重みで転落し、おぼれる恐れがある。帰省先では風呂の水は抜いておく。
服装にも注意する。国民生活センターによると、昨年11月、石川県で小学4年生の女児が、ブーツのひもに付いていた左右の飾りが絡まり、転倒する事故があった。帰省先の遊具は普段、遊び慣れていないため、服装がきっかけとなる事故も起きる可能性がある。
また、マイカーでの移動時には必ずチャイルドシートを着用する。今年4月に警察庁とJAF(日本自動車連盟)が行った調査では、チャイルドシートの使用率は56・8%と低い。山中院長は「予防できるものは、あらかじめ取り組むべきだ」と話す。
特に雪の多い地域では、雪が道の両脇に寄せられて道幅が狭くなり、車と接触する危険性が高い。積雪で見通しも悪くなるため、十分に注意する。路面凍結による転倒を防ぐには、滑りにくい靴底やスパイク付きの靴も有効だ。