安倍晋三首相は10日、東日本大震災から3年を迎えるのを前に官邸で記者会見し「これからはハード面の復興のみならず、心の復興に一層力を入れていく」と述べ、被災者の不安解消に全力で取り組む意欲を示した。一部が建設中の常磐自動車道を来年春の大型連休前までに全面開通させる方針も明らかにした。
来年3月末までに200地区の高台移転と、1万戸を超える住宅の工事完了を目指すことや、被災した農地の7割で今年中に営農が再開できるとの見通しを表明。政府の復興対策について「遅れていた復興が大きく動き始めた1年になった」と述べた。
今後の取り組みに関し「これからの1年を被災地の皆さんが復興を実感できるようにしていく決意だ。安心できる暮らしを取り戻すまで取り組みは終わらない」と強調した。
具体的には、長期にわたる避難生活が被災者の精神的な負担になっているとし、地域の見守り態勢、仮設住宅への保健師やカウンセラーの巡回訪問などの充実、遊び場や学習スペースの確保を進める考えを示した。
被災地からの人口流出が続いていることについて「被災地を単に原状復旧するのではなく、震災復興を契機として人口減少、高齢化、産業の空洞化などの課題を解決していくことが重要だ。新しい東北の創造にしっかりと取り組む」とした。
東京電力福島第1原発の廃炉作業や汚染水対策については「放射線による健康への不安には万全の対策をとる。私自身が先頭に立ち風評被害の払拭(ふっしょく)に努める」とし、国が前面に出て除染やインフラ復旧を進める意向を示した。