東洋経済オンラインが『会社四季報』(新春号が発売中)でも掲載しているデータを活用して、全上場企業約3600社を対象に1月26日に配信した「平均年収『全国トップ500社』ランキング」には多方面から反響が寄せられた。トップクラスになると年収1000万円を超える高給企業の社員をうらやんだ読者も少なくないだろう。
今度は全国ワースト500社のランキングを紹介する。上位500社のリストだけでは上場全社を一部分しか網羅できない。企業や読者の一部から「トップ500でランキングをすると、まるで500位が低いように見える」「給料の高い会社ばかりではなく、高くない会社の情報も知りたい」という指摘があり、それに応える意図もある。
直近の年収の変化もとらえられるように前年度との差額のほか、平均年齢も加えた。なお、ランキングでは単体の従業員数が20人に満たない場合や平均賃金が掲載されていない会社は対象外としている。
■400万円未満は193社
上位8社の平均年収は300万円未満、193社が400万円未満となった。利益率の高くない事業を手掛けていたり、業績が苦しかったりと、平均年収が高くない会社の事情はそれぞれだ。トップ500社の本社所在地が大都市に集中した一方、ワーストランキング上位は所在地が分散している。東京都の会社も目につくが、地方の企業も多い。
ただ、会社によっては専門職や定年後の再雇用社員などを集計対象に含み、平均年収や平均年齢との関係から、いわゆる正社員の平均的な実態と乖離がある場合もありうる点にはご注意いただきたい。
2013年度の内閣府の県民経済計算によると、1人当たりの雇用者に対する給与や報酬、社会保障額の総額を示す「1人当たり県民雇用者報酬」は、トップ東京都は630万円だったのに対し、ワーストの佐賀県は324万円だった。平均的な給与水準は、地域によって300万円以上の差がある。こうした居住地域の平均的な水準や生活コストを考慮すれば、ワーストランキングに掲載された会社であっても、それほど悪くない水準だといえる企業もある。
業種でみると、上位には製造業への派遣・請負を主な事業とする企業が並んだ。なお派遣・請負業では、平均年収として全社員の年収額と一般社員、現場社員に分けた年収額が開示されている場合が多い。今回のランキングでは、できるかぎり全社員の平均的な金額で比べたいと考えているので、この場合は全社員合計の平均年収額を取得した。
2015年9月期~2016年8月期の有価証券報告書に掲載された値を用いた。本社の所在地は、有価証券報告書発行時点の情報に合わせるために、『会社四季報』2016年4集で調査した実質的な本社とした。
持ち株会社化している会社では、グループの管理業務を行う少数の社員の平均年収のみを開示している。全従業員の平均より高い年収となる場合が多いので、判別できるようにしている。なお、持ち株会社にあたるかどうかの判断は、集計時点の実態に合わせたもの。社名は最新の社名変更を反映している。