平均手取り20万円…正社員から転げ落ちた「40代・氷河期世代」タイムオーバー迫る

大学を卒業したのに、就職先がない……戦後、未曽有の就職難に直面した、就職氷河期世代の人たち。2022年、40代~50代前半にあたりますが、もちろん、競争を勝ち抜き、正社員として会社員人生をスタートした人も大勢いました。一方で、せっかく手にした正社員としいう座から降りてしまった人も。その後のキャリアはどのようなものだったのでしょうか。みていきましょう。 【ランキング】都道府県別「非正規社員率」…1~47位

超氷河期…有効求人倍率0.59%、大卒就職率55.8%の悲惨

バブル崩壊が引き金となった就職難。1993年~2005年卒とする専門家が多く、特に2000年前後は「超氷河期」といわれ、2000年の有効求人倍率は0.59%、大卒の就職率は55.8%と散々たる状況。大卒の22.5%が「学卒無業者」という悲惨な時代だったのです。 もちろん、全員が全員、就職ができなかったというわけではありません。厳しい就職活動を勝ち抜き、正社員として社会人になった人は大勢いました。しかし希望とはまったく異なる職業であっても、大学で学んだこととはまったく関係のない職業であっても、「無職でいるよりはまし」として飛び込んだ人も多くいました。 新卒での就職が不本意で終わってしまった氷河期世代。一方で雇用環境が回復した2005年以降に「第二新卒」としてリベンジをする人が一般化したのもこの世代でした。この機会に大きく年収を伸ばし、勝ち組人生を歩み始めた人もいました。しかし、すべての人がリベンジを叶えたわけではなく、成功したのは極わずか。逆に年収を下げた人もいましたし、そもそもリベンジにも挑めなかった人も多かったのです。 また就職難がいったん終わった2005年ごろ、雇用環境は好転し、人手不足に。そこで長時間労働が常態化し、ブラック企業が増加。その煽りを最初に食らったのも氷河期世代だといえるでしょう。「せっかく正社員になれたのだから……」そんな思いからでしょうか。ブラックな労働環境下でも、なんとかしがみつこうと必死になったわけです。 しかし、なかには耐えきれずに退職。その後、派遣社員やフリーターになって今に至るといった転落劇を演じた人も多く、なかには心を病み、退職&引きこもりになる人も。昨今、中高年の引きこもりが問題視されていますが、この時代に心を壊してしまったことがきっかけ、というケースは珍しくないのです。

氷河期世代…踏みとどまった者、転落していった者の、凄い給与格差

いままでにない就職難に直面した氷河期世代。そのなかでも、転落してしまった人たちは、その後、どのような人生になってしまったのでしょうか。 2000年の超氷河期で就職したものの、ブラック体質の企業に耐えきれず20代後半で退職。その後は非正規社員としての人生を歩んできた、氷河期世代ではよくあるパターンをみていきましょう。 ストレートで大学を卒業している人であれば、2022年、45歳を迎えていますが、正社員としてしがみついていれば、月収48万3,500円、手取りにすると36万円ほどです。一方、45歳、非正社員であれば月収26万2,300円、手取りにすると20万円ほどになります。 踏みとどまった人と転落した人では、手取りで月16万円ほどの差になります。また年収で比較すると、賞与部の分、さらに格差は拡大。年間400万円以上の給与差になります。

【大卒会社員の月収と推定年収】

20~24歳:255,100 円(211,100 円)/3,415,500 円(2,590,500円)

25~29歳:307,400 円(241,400 円)/4,518,400 円(2,992,500円)

30~34歳:358,000 円(246,000 円)/5,335,200 円(3,057,600円)

35~39歳:411,700 円(251,300 円)/6,252,200 円(3,139,900円)

40~44歳:446,200 円(256,100 円)/6,844,800 円(3,225,300円)

45~49歳:483,500 円(262,300 円)/7,480,400 円(3,320,600円)

50~54歳:533,200 円(273,500 円)/8,418,800 円(3,446,700円)

55~59歳:533,200 円(264,900 円)/8,334,000 円(3,385,400円)

60~64歳:446,400 円(290,700 円)/6,497,600 円(4,101,600円)

出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より算出 ※数値左より、正社員の平均月収、正社員の推定年収、(かっこ)内は非正規社員の数値 収入差は現役を引退した後も続きます。定年まで正社員で平均的な給与を得ていたとしたら、65歳からもらえる年金は月17万4,000円ほど。一方、非正規社員であれば月11万3,000円ほどと、1ヵ月で6万円、1年で72万円、20年で1,500円近くの年金差になります。 そんな転落したまま浮上できずにいる氷河期世代に向けて、政府は支援策を活発化させています。しかし2020年度から3年で氷河期世代30万人を正社員にする目標を掲げていたものの、2021年度時点で3万人と10分の1の達成度。期間は2年延長となりましたが、すでに未達という意見が目立ちます。また予算の8割が使われておらず、ニーズとのズレが指摘されています。 このまま救われずにタイムオーバーを迎えてしまうのか……氷河期世代は正念場に立たされています。

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