年々拡大するペット市場で売上1000億円を狙うイオンの鼻息

イオングループでペット専門店を展開するペットシティは2月21日、ペット業界大手のAHBインターナショナルと合併した。
 新会社名はイオンペットで、売上高は約250億円。ペットショップ164店舗、トリミング・ホテル148店舗、動物病院52ヵ所を抱え、業界大手であるコジマ(売上高134億円。11年3月期)を規模で大幅に上回ることになる。
 物販に強いペットシティと、トリミングや病院などに強いAHBの両社の強みを活かし、ペットに関するワンストップサービスを強化する構えだ。
 ただし、ペット自体の販売は「いまだにブラックボックスがある業界」(豆鞘亮二・イオンペット副社長)との理由から手掛けず、あくまでペット関連商品やサービスの販売に徹する。
 イオンがペット事業を強化する理由は大きく二つある。
 一つはペット関連市場の今後の成長性だ。
 ペットフード協会によれば、11年の全国における犬・猫の飼育数は合計2154万4000頭。リーマンショック以降の節約志向で、08年の2683万9000頭をピークに減少が続くものの、依然として2000万頭を超えている。
 一方で、ペットに費やす支出額は増加している。総務省によれば、二人以上世帯におけるペット関連の年間支出額は、15年間で1.7倍に増加している。
 矢野経済研究所によると、2006年度のペット関連市場の規模(小売りベース)は1兆2789億円だったのに対し、今年度は9%増の1兆3941億円の見通し。高齢化の進展とともに、中長期でペット市場の拡大は続きそうだ。
 二つ目は専門店化戦略だ。
 イオンは総合スーパーなどへの集客力を高めるため、専門店化を進めている。自転車、酒類、手芸などと並び、ペットも強化分野の一つ。
 大手ペット専門店は少ないため、ペット関連商品の販売はホームセンターが主流だが、近年、ホームセンターでの売上高が減少している。日本DIY協会によれば、昨年のペット関連の売上高は前年比2.3%減。10年も前年比5.1%減だった。
 一方で、ペットシティの既存店売上高は前年比で103.5%。「ホームセンターにはない、専門店としての接客力や充実したサービスが当社の強み」(豆鞘副社長)として、シェア拡大を狙う。
 イオンペットは今期、ペットショップ30店舗を出店する。今年2月期の売上高は約250億円だが、来年2月期には300億円超を見込む。さらに「(岡田卓也・イオン)名誉会長は並々ならぬ関心を持っており、“年間100店舗出店し、売上高1000億円を目指せ”と発破をかけられている」(豆鞘副社長)という。
 今後は中国、アセアンへの出店も強化する。現在、北京に一店舗のみを展開しているが、今春には北京、天津に3店舗を出店。さらにマレーシアでの出店も契約しており、「2年以内に海外の店舗数を二桁にする」(豆鞘副社長)という。
 国内外ともに伸張するペット市場において、開拓の余地はまだまだ大きいようだ。
 (「週刊ダイヤモンド」編集部 松本裕樹)

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