年収400万円の人の「生活満足度」はどれくらい?「年収」と「満足度」の関係

「幸せになりたいからお金が欲しい」と考えるのは、ごく自然なことです。ところが、人の幸せや満足度は年収とは必ずしも比例しないという研究も数多く存在します。

「お金を得ても幸せになれない」という矛盾めいた事実を、行動経済学では“幸福のパラドックス”と呼んでいます。

そこで、今回は最新の調査から、人の生活満足度を決める要因や年収との関係性についてご紹介します。

サラリーマンの平均給与は約440万円

はじめに、サラリーマンの平均給与を押さえておきましょう。

令和元年に国税庁が発表した『平成30年分民間給与実態統計-調査結果報告-(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/000.pdf)』によると、2018年度の1年を通じて勤務した給与所得者の年間平均給与は約440万円でした。この数字はあくまでも平均値なので、性別や年齢、業種や就業形態などによっても大きく変わってきます。

たとえば、性別および就業形態別の平均給与を見てみましょう。(表「性別および就業形態別の平均給与」を参照) (/mwimgs/c/5/-/img_c563f5ca812fff805132a21b6cb6bd526261.png)

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性別および就業形態別の平均給与(国税庁の資料をもとに編集部作成)

男性と女性、正規雇用と非正規雇用の間に、平均給与からは読み取れない格差が生じていることがわかります

【参考】
『平成30年分民間給与実態統計-調査結果報告-』国税庁

年収が3,000万円以上になると生活満足度は下がる

内閣府は国民の生活満足度を把握する目的で、「家計と資産」や「健康状態」、「社会とのつながり」や「住宅」といった11分野の指標(ダッシュボード)を作成しました。

さらに、この指標に基づいて「満足度・生活の質に関する調査」を実施し、令和元年に第1次報告書を公表しています(※1)。

本調査では、生活満足度を「総合主観満足度」という数値で表しています。「現在の生活にどの程度満足しているか」について、0点から10点の11段階で回答してもらい、「全く満足していない」を0点、「非常に満足している」を10点として算出しました。

全サンプルの総合主観満足度の平均点は5.89で、国際連合が実施した世界幸福度ランキング『World Happiness Report 2019(https://worldhappiness.report/ed/2019/)』の結果とも整合性が取れています。

【参考】
(※1)『満足度・生活の質を表す指標軍(ダッシュボード)(https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/index.html)』内閣府
『「満足度・生活の質に関する調査」に関する第1次報告書(https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/report01.pdf)』内閣府
『World Happiness Report 2019(https://worldhappiness.report/ed/2019/)』

年収別に見る総合主観満足度

内閣府の『満足度・生活の質に関する調査』によると、世帯年収別の総合主観満足度は年収2,000万円以上3,000万円未満でピークになり、これを超えると次第に下がることが明らかになりました。(グラフ「世帯年収別の総合主観満足度」参照) (/mwimgs/b/9/-/img_b9f3808c848c4dca131fdac2829e4f1a66432.png)

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世帯年収別の総合主観満足度(内閣府の資料をもとに編集部作)

とくに、総合主観満足度のアップ率が高いのが、「年収100万円以上300万円未満」と「年収300万円以上500万円未満」の境目です。平均年収は440万円なので、「人は平均的な年収に達するときに、満足度を大きく上げる」ともいえるでしょう

前出の国税庁の資料によると、年収2,000万円以上の割合はわずか0.6%にとどまっています。つまり、多くのサラリーマンは「年収が上がるほど生活満足度も上がる」範囲に含まれているのです。

生活満足度に影響するもの

世帯年収2,000万円~3,000万円で総合主観満足度が頭打ちになること以外にも、内閣府が指摘している本調査のポイントがいくつかあります。

とくに、健康状態が良いほど総合主観満足度が高くなる点や、男性よりも平均給与が低い女性のほうが総合主観満足度が高い点は特徴的です。

「趣味・生きがい」の有無

趣味や生きがいは、生活満足度に大きく影響を与える要因の1つです。「趣味・生きがい」がない人では総合主観満足度を「5点」と回答する人が最も多い一方で、「趣味・生きがい」がある場合は「7~8点」と回答する人が多くなりました。

「頼りになる人」の数

「頼りになる人」がいるかいないかも重要な要因です。「頼りになる人」が「いない」と回答した人の総合主観満足度で最も多かったのは「5点」、2位が「0点」でした。「5点」以下を付けた人が74%を占めた点も見逃せないポイントです。

一方、「頼りになる人」が多いほど、「0~4点」や「5点」と回答する割合が減少し、「7~8点」を付ける人数が増えることが明らかになりました。

ボランティア活動の有無

ボランティア活動をしていない人で最も多かった総合主観満足度は「5点」、している人では「7~8点」がピークになっています。

「他人にちょっとした親切をすることが、自分の気持ちを満たしてくれる」という経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。

「自分の幸せは何か」を考えてみよう

内閣府の調査からは、健康や「趣味・生きがい」、「頼れる人の数」や「ボランティア活動の有無」が生活満足度に大きな影響を与えることが浮き彫りになりました。生活するうえでお金は欠かせませんが、生きがいや人とのつながりといった”目には見えないモノ”も、幸せになるための大切なポイントだといえるでしょう。

年収を上げることだけに関心を向けている人は、一度立ち止まって「自分の幸せは何なのか」を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

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